ツバメが巣を作る前兆とは?時期・場所・対策まで徹底ガイド
春になると、空をスイスイと飛び交うツバメたち。その姿を見ると「もうすぐ巣を作るのかな?」と感じる方も多いのではないでしょうか。
今回は、ツバメが巣を作る前兆から、時期、好まれる場所、対策方法、そして撤去に関する注意点まで、初心者の方にもわかりやすくご紹介します。
ツバメがやってくるのはいつ?巣作りの時期と特徴を知ろう
ツバメは毎年、春の訪れとともに日本に戻ってくる渡り鳥です。一般的には3月下旬から4月にかけて姿を見せ始めますが、気温や気候によって多少前後することもあります。南の地域から徐々に北上していくため、地域ごとに到来のタイミングに差があります。
特に玄関先や軒下など、雨風がしのげて人の出入りがある場所を好むため、家のまわりでツバメを見かけることが多くなってくると、「そろそろ巣作りかな?」と感じる方も多いかもしれません。
ツバメの1年間の主な行動サイクルは次のようになります:
- つがいを作ってペアになる
- 巣作りを開始
- 巣が完成したら卵を産み、温める
- ヒナが孵化し、親鳥が餌を運び育てる
- ヒナが巣立つ(約20日前後)
1回目の子育てが終わったあと、同じ巣を使って2回目の繁殖を行うこともあります。運が良ければ、春から夏にかけて2度、ツバメの成長を見ることができるかもしれません。
また、巣作りや子育て中のツバメは、とても敏感で警戒心が強いため、あまり刺激を与えないよう見守ってあげることも大切です。
巣作りの前兆サインとは?ツバメが現れる兆しを見逃さないで
「ここに巣を作ろうかな?」と考えているツバメには、いくつかの特徴的な行動があります。これらの行動を知っておくと、巣作りを未然に察知することができ、対策や準備をスムーズに進めることができます。
- 電線や軒先にとまって周囲をじーっと観察する:この行動は、ツバメがその場所を安全かどうか見極めているサインです。しばらくその場にとどまり、近くの様子をうかがうようであれば、かなり気に入っている可能性があります。
- 泥や草をくわえて運んでいる:巣作りの材料を運び始めたら、もう本格的に巣を作る準備段階です。泥や細かい草、髪の毛のような柔らかい素材を運ぶ姿が見られるでしょう。
- 飛ぶ範囲が狭まり、何度も同じ場所を通る:特定の場所に強い関心を示している証拠です。すでに何度もそこをチェックしていて、最終確認の段階に入っていることもあります。
- ピチュピチュと鳴き声がよく聞こえる:つがい同士のコミュニケーションや、縄張りを知らせる声である場合があります。頻繁に鳴き声が聞こえるようになったら、そこが活動の中心になっている可能性があります。
さらに、朝方や夕方などの時間帯に特に活発になる傾向があり、そういった時間帯に姿を見せる頻度が高まるのも重要なサインのひとつです。こうした兆しに気づけると、ツバメとの共存や対策のタイミングを逃さずに済みます。
ツバメはなぜその場所を選ぶ?巣作りの環境条件と好まれる理由
ツバメは実はとても慎重で繊細な鳥です。巣を作る場所には、いくつかの大切な条件があり、それらを丁寧に見極めてから決定します。生き延びるためには安全性や環境の快適さが重要なポイントで、子育てを成功させるためにも、最適な場所選びが欠かせません。
- 人の出入りが多い場所(カラスなどの天敵が来にくい):ツバメは、人の多い場所を避けるどころか、むしろ積極的に選ぶ傾向にあります。これは、人間の存在がカラスや蛇などの天敵を遠ざけてくれるという理由があるからです。人の動きがあると、天敵が近づきにくくなるため、ツバメにとっては安全な環境といえるのです。店舗の軒先や自宅の玄関まわりなどがよく選ばれるのは、このためです。
- 風や雨を防げる軒下や玄関先:ツバメの巣は、泥や草、羽毛などで作られており、非常にデリケートな構造です。そのため、強風や雨にさらされると壊れてしまうリスクがあります。ひさしがあって直接雨が当たらない軒下や玄関の奥まった場所など、自然の影響を受けにくい立地が好まれます。加えて、適度な風通しがあり湿気がこもらない場所も理想的です。
- 高さがあり、巣を支える出っ張りがある場所:ツバメの巣は、ある程度の高さがある場所に設置されることが多く、これは外敵からヒナを守るためです。また、巣をしっかり支えることができる突起や出っ張り(電気メーターの上や梁の角など)があると、巣が崩れにくく、より安定した子育てが可能になります。
これらの条件がそろっている場所をツバメは何度も確認し、飛び回りながら慎重に決定します。人間にとってはちょっと意外に感じられる場所でも、ツバメにとっては安全で快適な住まいなのです。
ツバメの巣は縁起がいい?昔からの言い伝えとスピリチュアルな意味
昔から「ツバメが巣を作る家には幸運が訪れる」と言われています。ツバメは人間の住まいの近くに巣を作ることが多く、そのため人々はツバメを「幸福を運ぶ鳥」として親しんできました。
- 商売繁盛のしるし:お店や商家にツバメが巣を作ると「お客さんがたくさん来る」「売上が上がる」と言われ、商売をしている人にとっては特にありがたい存在とされてきました。
- 家が安全で良い気が流れている証拠:ツバメは環境が整っていて安心できる場所にしか巣を作らないため、「ツバメが巣を作る=家の気がよい」と考えられてきました。家相や風水を重んじる地域では特に重視されることもあります。
- 病気や災いから家族を守る存在:ツバメの存在は、災難除けや家族の健康を守ってくれると信じられ、見守ってくれているように感じるという声も多く聞かれます。
地域によっては、ツバメが巣を作った場所を「神様が選んだ場所」として大切にする風習もあります。たとえば、神社の近くやお寺の軒先に巣を作ることが「神の使い」として歓迎されたり、毎年同じ場所に戻ってくるツバメを「福を繰り返し運んでくれる存在」として大切にする文化もあります。
現代でも、ツバメの巣ができたことで「うれしい気持ちになった」「家に幸運が舞い込んできた気がする」という声が多く、スピリチュアルな面でも人々の心に安らぎや前向きなエネルギーを与えてくれる存在といえるでしょう。
巣を放置するとどうなる?糞害・騒音・衛生面のリスク
ツバメはとても可愛らしく、見ているだけで心が和む存在ですが、実際に自宅の軒下や玄関先に巣ができると、いくつかの現実的な問題も発生する可能性があります。巣作りのシーズンは特に注意が必要です。
- 巣の下にフンがたまる(悪臭・汚れ):ツバメのフンは想像以上に多く、数羽のヒナが育つ間にかなりの量が蓄積されます。放置すると玄関先が汚れ、見た目も衛生的にも悪影響があります。また、梅雨時など湿気の多い時期にはにおいが強くなることも。
- 鳴き声が思ったより大きい:親鳥が餌を運ぶときやヒナが餌をねだるときなど、朝早くから夕方までピチュピチュと鳴き声が響きます。普段は気にならなくても、日々続くと気になるという方も多いようです。
- ダニや虫がわく可能性がある:フンや巣に付着した羽毛、餌の残りなどが原因で、ダニ・ノミ・小さな虫が発生することがあります。これが室内に入るとアレルギーの原因になることもあるため、注意が必要です。
さらに、雨風にさらされた巣が崩れかけている場合には、ヒナが落ちてしまう危険性もあります。巣の真下を人が通る玄関やベランダであれば、フン避けの板や受け皿などを設置することで被害を最小限にする工夫もできます。
小さなお子さんやペットがいるご家庭では、特に衛生面やアレルギー対策に気を配ることが大切です。ツバメとの共存を考えるなら、事前にできる対策を講じておくと安心ですね。
ツバメと似た鳥の見分け方:誤認での対処ミスを防ごう
「この鳥って本当にツバメ?」と迷ったときは、外見や行動、巣の特徴をよく観察することが大切です。ツバメは他の鳥に似ている部分もありますが、いくつかのポイントを押さえれば見分けやすくなります。
- 飛び方がすばやく滑らか:ツバメは羽ばたくよりも、滑空するような飛び方をするのが特徴です。空中で素早く方向転換したり、低空飛行をする姿はとても優雅で、ほかの小鳥とは明らかに違います。
- 巣が泥で作られていて、ひょうたん型に近い:ツバメの巣は、泥とわらなどを使って作られており、壁にしっかりとくっついているのが特徴です。特にコシアカツバメの巣は細長く管のような形をしているため、種類の違いも見て取れます。
- ピチュピチュと特徴的な鳴き声:高くて小さな声で「ピチュピチュ」と鳴くのが印象的です。よく通る声なので、朝夕の静かな時間帯には特に目立ちます。
間違えやすいのは、イワツバメやスズメです。イワツバメはツバメよりも体がやや小さく、尾の形がやや短めで巣は半球状。スズメは体がずんぐりしていて尾羽も短く、泥ではなく草を中心に巣を作ります。
似ているようで、行動や巣の形、鳴き声には明確な違いがあります。正しく見分けられれば、不要な対処ミスを避けることができ、安心して対策を考えることができますね。
ツバメの巣作りを防ぐには?効果的な対策方法7選
「できれば巣を作ってほしくない…」という方のために、ツバメを傷つけず、やさしく遠ざける方法をご紹介します。ツバメは法律で守られている鳥なので、対策を講じる際にはその点にも注意が必要です。
- 巣を作られそうな場所をこまめに掃除:巣作りを始める前兆として、古い巣やホコリのある場所を好むことがあります。掃除をまめに行うことで、ツバメが「ここは落ち着かない」と感じるようになり、候補から外れる可能性が高まります。
- CDや銀色のテープを吊るす:光を反射する素材はツバメにとって不安を感じる要因となります。キラキラ光るものが風に揺れて動くと、ツバメが警戒して近づかなくなる効果があります。ベランダや軒下に設置すると効果的です。
- 糸を垂らして着地しにくくする:透明なテグスや細い糸を天井から垂らすことで、ツバメがとまることができなくなります。物理的な障害をつくることで巣作りを妨げる効果がありますが、見た目を損なわずに実行できるのもメリットです。
- 防鳥ネットを設置:特に頻繁に巣作りされる場所には、ネットを張ることで完全に物理的なバリアをつくれます。張り方によっては目立ちにくく、長期的な対策としてもおすすめです。
- 市販の鳥よけグッズを使う:超音波タイプやフクロウ型の模型など、さまざまな商品が市販されています。場所や設置状況に応じて選べば、高い効果が期待できます。
- 水で薄めた酢をスプレー(におい対策):ツバメは強いにおいを嫌う傾向があるため、酢を使ったスプレーも有効です。ただし、においが気になる方や植物の近くでは注意して使いましょう。
- 巣ができたら早い段階で撤去(※卵がない状態で):すでに巣作りが始まってしまった場合でも、卵を産む前であれば撤去可能です。卵を確認できない段階で速やかに対応することが重要です。
これらの方法を上手に組み合わせることで、ツバメにとって「ここは住みにくいな」と感じさせることができます。自然にも配慮しつつ、無理なくできる範囲で工夫してみてくださいね。
ツバメの巣の撤去は違法?知っておくべき法律と正しい手順
ツバメは「鳥獣保護管理法」という法律によって保護されている鳥です。この法律は、野生動物の保護を目的としており、ツバメを含む多くの野鳥やその卵、ヒナ、そして巣までもが対象となっています。つまり、ツバメの巣を勝手に壊したり、移動させたりすることは、法律違反にあたることがあるのです。
- 卵やヒナがいる巣を勝手に撤去するのはNG!:巣の中に卵やヒナが確認された場合、その巣を撤去することは法律で固く禁じられています。罰則としては、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる可能性もあるため、知らなかったでは済まされません。自然を大切にする心を持ちながら、正しい知識を身につけることが大切です。
- 撤去するなら「巣作り初期(卵なし)」がタイミング:巣作りの初期段階、つまりまだ卵が産まれていないタイミングであれば、撤去が認められるケースもあります。ただし、判断には慎重さが必要です。卵があるかどうかをしっかり確認し、できるだけ早めの段階で対処することが望ましいでしょう。日々の観察が重要になります。
- 不安な場合は自治体か専門業者に相談しましょう:撤去の判断が難しい、または法律面で不安がある場合は、自分で無理に判断せず、地域の自治体や鳥類専門の業者に相談するのが安心です。多くの市町村では、鳥獣に関する相談窓口が設けられており、具体的な状況を伝えることで、適切なアドバイスや対応策を案内してもらえます。
ツバメの巣の扱いには、思いやりと慎重さが求められます。知らずに違反してしまう前に、事前にしっかりと確認をしておきましょう。ツバメと上手に共存しながら、必要な場合はルールを守って適切な対処を行うことが、私たち人間にできるやさしい配慮です。
巣立ったあとの巣はどうする?再利用の可能性と放置リスク
ツバメは、一度作った巣に愛着を持ち、翌年も同じ場所に戻ってくることがよくあります。そのため、巣が残っていれば、再利用される確率は非常に高くなります。ツバメにとっては、安心できる場所であることの証でもあるため、わざわざ新しい巣を作るよりも、古巣を修復して使う方が効率的なのです。
- 再利用の可能性が高いなら、巣を残しておく選択肢も:翌年もツバメの姿を見たい、ツバメと共存したいという方は、古巣をそのまま残しておくことで再訪を期待できます。春になると、同じつがい、またはその子孫が戻ってくるというケースもあります。
- 古巣には害虫がつくこともあるので、掃除は大切:長期間放置された巣には、ダニやノミ、ハエなどの害虫が住み着いてしまうことがあります。特に湿気の多い場所では繁殖しやすく、近隣環境に悪影響を及ぼすこともあるため、夏が終わったあとは様子を見て、必要に応じて清掃を行いましょう。
- 撤去する場合は、秋以降に安全を確認してから行いましょう:ヒナが巣立ったあとでも、まれに親鳥が戻ってくることもあるため、すぐに撤去するのではなく、しばらく様子を見守ることが大切です。確実に使用されていないことを確認し、秋以降の涼しくなった時期に行うと、衛生的にも安心です。また、撤去の際には周囲の壁なども丁寧に掃除しておくと、次のシーズンに備えやすくなります。
まとめ|ツバメの習性を知って、上手につきあおう
ツバメの巣作りには、前兆となる行動や時期、そして巣を作る場所に関する好ましい条件があり、それらをしっかりと知っておくことがとても大切です。「ツバメが来ると嬉しい」と感じる人もいれば、「できれば巣作りは避けてほしい」と思う人もいるでしょう。どちらの立場であっても、ツバメの習性や法律を理解し、思いやりを持って対応することが、お互いにとって良い関係を築く第一歩になります。
ツバメは人間の近くに巣を作ることで身を守り、子育てをする賢い鳥です。その姿を見守ることで、自然とふれあうきっかけになり、四季の移り変わりを実感する瞬間にもなります。玄関先に巣を見つけたとき、その場の対応に迷うことがあるかもしれませんが、正しい知識を持っていれば、慌てることなく落ち着いて対処できます。
ツバメの訪れは、春の風物詩として、昔から多くの人に親しまれてきました。自然のメッセージに耳を傾けながら、やさしい気持ちでツバメと向き合っていけたら素敵ですね。

