お正月に飾る縁起物にはさまざまな種類がありますが、それぞれにどのような意味があるかご存じでしょうか?
年末が近づくと、新しい年を迎える準備が始まります。
その中でも、お正月飾りを用意することは昔から続く大切な習わしのひとつです。
そもそも、お正月飾りとは何のために飾るのでしょうか?
その意味や由来を深く考えたことはありますか?
今回は、お正月飾りの種類やそれぞれに込められた意味を詳しくご紹介します。
また、飾るタイミングや適切な処分方法についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
お正月飾りの種類と意味とは?
お正月飾りにはさまざまな種類があり、それぞれ異なる意味が込められています。
しかし、どのような願いが込められているのか、詳しく知る機会は意外と少ないかもしれません。
そこで、お正月飾りの種類とその由来について詳しくご紹介します。
門松とは? その意味と飾る場所
お正月には、山や田にいる歳神様が人々のもとへ訪れるとされています。
歳神様は祖先や農作物を守る神とされ、新年にお迎えして手厚くもてなすことで、一年の健康と幸福がもたらされるといわれています。
門松は、その歳神様が迷わず家に来られるようにするための目印の役割を果たすものです。
ただし、マンションやアパートでは玄関前が共用スペースとなるため、大きな門松を置くのが難しいこともあります。
その場合は、室内に飾れるタイプの門松を活用するとよいでしょう。
どこに飾るのがよい?
一般的には、門や玄関の脇に設置します。
マンションやアパートなどで共用部分に飾れない場合は、玄関の内側に置ける小さな門松を利用するとよいでしょう。
しめ縄(しめ飾り)の意味と飾る場所
しめ縄(またはしめ飾り)は、歳神様をお迎えする際に邪気を払うために飾るものです。
神社で見かけるしめ縄には、神聖な場所を示し、不浄なものが入り込まないようにする意味があります。
お正月のしめ縄も同様に、玄関に飾ることで家の中への邪気の侵入を防ぐ役割を持っています。
どこに飾るのがよい?
玄関の軒下やドアに飾るのが一般的です。
できるだけ高い位置に取り付けるとよいとされています。
ただし、マンションやアパートでは玄関の外側に飾ることが制限される場合もあります。
そのような場合は、玄関の内側にしめ縄を飾ることで、同じご利益を得ることができるでしょう。
鏡餅の意味と飾る場所
鏡餅は、歳神様が宿る依り代とされています。
かつては実際に鏡を飾る風習がありましたが、神聖な鏡の形に似せて餅を用いるようになりました。
また、餅の原料である米は豊作の象徴とされ、五穀豊穣への願いも込められています。
大小の餅を重ねるのは、大きい餅が「月」、小さい餅が「太陽」を表し、「円満に日々を重ねる」という意味があるといわれています。
関東では1月11日、関西では1月20日に「鏡開き」を行い、鏡餅を割って食べる風習があります。
これは、歳神様のご加護を受け、一年を健やかに過ごすための習わしです。
どこに飾るのがよい?
神棚や床の間に飾るのが理想的とされています。
しかし、これらがない場合は、静かで落ち着いた場所に置けば問題ありません。
テレビ台など騒がしい場所は避け、部屋の中でできるだけ高い位置に飾るのがよいでしょう。
破魔矢とは? その意味と飾る場所
破魔矢は、その名の通り邪気を祓う力を持つ矢とされ、新年の縁起物として神社やお寺で授与されることが一般的です。
どこに飾るのが良い?
基本的には神棚に飾るのが理想的です。
また、家全体を守るために家族が集まる床の間や、外からの邪気を防ぐ目的で玄関に飾るのも良いでしょう。
どこに飾る場合でも、明るく風通しの良い場所を選び、目線より少し高い位置に設置するのが望ましいとされています。
羽子板とは? その意味と飾る場所
羽子板は、女の子の健やかな成長を願うお守りとして贈られる縁起物です。
羽根を打ち返すことで邪気を跳ね除けるとされ、古くから魔除けの道具として用いられてきました。
室町時代には宮廷で遊びとして広まり、貴族は観賞用と遊び用の羽子板を持っていたといわれています。
この風習が庶民にも伝わり、女の子の誕生祝いとして贈られたり、お正月の飾りとして使われるようになりました。
どこに飾るのが適している?
伝統的には床の間や客間に飾ることが多いですが、最近ではリビングや玄関に飾る家庭も増えています。
特に玄関は人の出入りが多く、外気が流れ込む場所であるため、ここに羽子板を飾ることで厄除けの役割を果たすとも考えられています。
干支の置物とは? その意味と飾る場所
干支とは、本来十干と十二支を組み合わせたものですが、一般的には十二支のみを指すことが多いです。
その年の干支にちなんだ置物を飾ることは、新年を迎える縁起の良い習慣とされています。
どこに飾るのが良い?
干支の置物は、一年間家族を守る縁起物とされるため、家族が集まるリビングや玄関に置くのが適しています。
また、神棚に飾るのも良いでしょう。
ただし、床に直接置くのは避け、高めの位置に飾るのが望ましいとされています。
お正月に飾る花や植物とは? その意味と飾る場所
お正月の飾りとして用いられる植物や花には、それぞれ縁起の良い意味があります。
代表的なものとして「南天」があり、「難を転じる」という語呂合わせから、厄除けの縁起物として飾られます。
また、赤い実をつける「万両」や「千両」は、その名の通り金運をもたらすとされ、お正月の飾りとして人気があります。
どこに飾るのが良い?
玄関やリビング、床の間など、人がよく集まる場所に飾るのが一般的です。
新年には来客が増えるため、訪れた人を歓迎する意味でも、目につきやすい場所に置くと良いでしょう。
また、香りの良い花をトイレや洗面台に飾ることで、空間を華やかに演出することもできます。
特に厳密な決まりはないため、飾りやすい場所に置いて自由に楽しむのも良いでしょう。
正月飾りはいつからいつまで飾る?
正月飾りを出す時期は、一般的に「正月事始め」とされる12月13日からとされています。
しかし、12月にはクリスマスの飾りをする家庭も多いため、早く飾るとごちゃついてしまうことも。
そのため、クリスマスが終わった12月26日以降に飾る人が多いようです。
ただし、飾る日は慎重に選ぶ必要があります。
・12月29日:「二重の苦しみ(苦が重なる)」を連想させるため縁起が悪い
・12月31日:「一夜飾り」になり、歳神様を迎える準備として失礼にあたる
縁起を気にする場合、28日が「末広がり」の意味を持つため、この日に飾るのが良いとされています。
片付ける時期は「松の内」が終わった後が一般的です。
・関東地方:1月7日まで
・関西地方:1月15日まで
地域によって異なるため、お住まいの風習を確認しておくと良いでしょう。
正月飾りの処分方法
正月飾りを片付けた後、どのように処分すればよいのでしょうか?
正月飾りは歳神様を迎えるためのものであり、基本的に再利用せずに毎年新しいものを用意するのが習わしです。(ただし、破魔矢や羽子板は一年中飾ることもあります。)
どんど焼きで処分する
最も一般的な方法は、神社や地域で行われる「どんど焼き」に持ち込むことです。
どんど焼きは地域によって「どんと焼き」や「左義長」など名称が異なりますが、内容はほぼ同じ。
🔥 どんど焼きの意味
・正月飾りを燃やすことで、歳神様をお見送りする
・その火で焼いた餅を食べると無病息災になる
・書き初めを燃やすと字が上手くなる
ただし、地域によっては正月飾り以外のものは燃やせないこともあるため、事前に確認しておくと安心です。
ゴミとして処分する場合
どんど焼きに持ち込めない場合は、自治体のルールに従って家庭ゴミとして処分することも可能です。
処分の際は、以下のようにすると気持ちよく片付けられます。
1. 素材ごとに分別し、指定の方法で廃棄する
2. そのまま捨てるのが気になる場合は、塩やお酒でお清めする
3. 半紙や白い紙に包み、他のゴミとは別の袋に入れて出す
また、「ゴミとして捨てるのは気が引ける」という場合は、神社の「古札納め」に持ち込むのも一つの方法です。
ただし、神社によっては御札やお守りのみ受け付けている場合もあるため、事前に確認すると良いでしょう。
まとめ
正月飾りは、歳神様を迎えるために用意する大切な縁起物です。
飾る期間は松の内までとされ、処分する際はどんど焼きに持ち込むのが一般的ですが、難しい場合はゴミとして処分することも可能です。
また、破魔矢や羽子板は一年中飾れるものであり、翌年のお正月に新しいものと交換する習慣もあります。
地域のルールや風習を大切にしながら、適切に片付けましょう。