仏滅のお通夜は避けるべき?気になる「日柄」の真実と、本当に注意すべきこと

六曜

深夜の病院、あるいは突然の電話で知らされる、大切な方との永遠の別れ。

深い悲しみと動揺の中、息つく間もなくお通夜や葬儀の準備が始まります。

葬儀社の担当者と打ち合わせを進める中で、ふと手にしたカレンダーに記された「仏滅」の二文字。

「縁起が悪い日に、故人をお見送りしてもいいのだろうか…?」

古くからのしきたりと、故人を滞りなく送りたいという想いの間で、心が揺れ動くかもしれません。

果たして、古くからの「日柄」を優先すべきか、それとも故人との最後のお別れを滞りなく進めるべきか…。

この記事は、そんなあなたの不安と疑問に徹底的に寄り添い、確かな知識と具体的な解決策をお届けします。

【結論】仏滅のお通夜、まったく問題ありません!

まず、どうか心を落ち着けてください。

結論から申し上げると、仏滅にお通夜を行うことは、決してマナー違反でも縁起が悪いことでもありません。

むしろ、現代においてはお祝い事以外で日柄を気にする方は少なくなり、ほとんどの方が弔事をそのまま執り行っています。

故人との最後の大切な夜を、カレンダーの文字ひとつで諦める必要はまったくないのです。

「仏滅」と「仏教」は別物!知られざる六曜のルーツ

「でも、『仏が滅ぶ』という字面がどうしても気になる…」
そう感じてしまうのは、仕方のないことです。

しかし、その不安は、歴史の中で生まれた壮大な誤解を解きほぐすことで、きっと解消されるはずです。

  • 六曜の正体は「占い」
    仏滅や大安といった「六曜(ろくよう)」は、一説には三国時代の名軍師・諸葛孔明が軍略のために作ったとも言われる、中国古来の占いが元になっています。

    それが日本に伝わり、日時や方角の吉凶を示すものとして民間に広まりました。

    つまり、インドで生まれ、死者の供養を説く仏教の教えとは、全くルーツが異なる文化なのです。

  • なぜ「仏」の字が使われるようになったのか?
    実は、もともと仏滅は「物滅」や「空亡(くうぼう)」と書かれていました。

    「全てが虚しい」「物が一度滅する」といった意味合いが、時代の流れと共に「仏さえも滅するほどの大凶日」という、よりインパクトの強い解釈に変化し、「仏滅」の字が定着したと言われています。

    言葉のイメージが先行してしまった典型的な例です。

  • お寺や僧侶の見解は?
    この点について、全国の多くの寺院や僧侶も「六曜と仏教は無関係です」という公式見解を示しています。

    お祝い事ならいざ知らず、弔事において日柄を優先するよう指導するお寺は、まずないと言ってよいでしょう。

逆転の発想?「仏滅=最高の旅立ちの日」という考え方

ネガティブなイメージが先行しがちな仏滅ですが、その本来の意味に立ち返ると、見え方が180度変わってきます。

前述の通り、仏滅の元々の意味は「物滅」。

これは「古いものが一度すべて滅び、ゼロから新しい物事が始まる日」と解釈できます。

この世での人生を全うされた故人が、痛みや苦しみ、一切のしがらみから解き放たれ、清らかな魂となって新しい世界へと旅立つ。

そう考えれば、仏滅は「最高のリスタートの日」として、お見送りにこれ以上なくふさわしい日とも言えるのではないでしょうか。

【最重要】本当に怖いのは「友引の火葬場渋滞」です!

日柄について本当に注意すべきは、仏滅ではなく「友引(ともびき)」です。

これは単なる迷信というだけでなく、非常に現実的な問題を引き起こします。

  • なぜ友引はNGとされるのか?
    「友を冥土へ引き寄せる」という字面からの迷信が根強く、全国の多くの火葬場が慣習として「友引」を定休日に定めています。
  • 引き起こされる現実的な問題
    この「友引休み」が、ご遺族にとって大きな負担となることがあります。

    • 火葬場の予約飽和
      友引の翌日(友引明け)は、二日分の火葬予約が殺到します。

      都市部などでは予約が数日先まで埋まってしまい、「火葬待ち」の状態になることも少なくありません。

    • ご遺体の安置費用
      火葬が延びれば、その分ご遺体を安置しておく日数も長くなります。

      斎場や葬儀社の安置施設を利用する場合、一日ごとに数万円の追加費用が発生することがあります。

    • 遠方からの親族の負担増
      遠方から忌引休暇を取って駆けつける親族にとって、日程が数日延びることは、仕事や宿泊の再調整など大きな負担となってしまいます。

このように、友引の葬儀を避けなければならないのは、縁起の問題以上に「物理的に火葬ができない」「関係者の負担が増える」という現実的な理由が大きいのです。

日程を決める際は、何よりも先に「火葬の日が友引でないか」を確認することが、トラブルを防ぐ最大の鍵となります。

「でも、親戚が…」を乗り越える、心配り満点の対話術

理屈は分かっていても、ご年配の親族の心情を無視するわけにはいきません。

もし反対された場合は、頭ごなしに否定せず、まずは相手の気持ちに寄り添うことが大切です。

  • ステップ1:共感する
    「おじさん、仏滅のこと、気になりますよね。私も最初は不安に思ったんです」と、まずは相手の気持ちを受け止め、同じ目線に立ちましょう。
  • ステップ2:丁寧に事実を説明する
    「それで、お寺様にも確認してみたのですが、仏教では全く関係ないそうなんです。
    むしろ、火葬場の都合で日程を延ばす方が、故人様をお待たせすることになってしまうようで…」と、専門家の意見や現実的な問題を伝えます。
  • ステップ3:故人の想いを代弁する
    「それに、父(母)は常々、形式よりもみんなが集まれることを大切にする人でしたから。
    きっと、日柄よりもスムーズなお見送りを望んでいると思うんです」と、故人の人柄に触れて理解を求めます。

また、仏滅にお通夜をすると翌日の葬儀は「大安」になります。

これを「不謹慎だ」と感じる方がいるかもしれませんが、その際は「故人の新しい門出を盛大に祝う、という意味で捉えました」とポジティブな解釈を伝えるのも一つの手です。

最終的には「家族の納得」が一番の供養

ここまで様々な解説をしてきましたが、最も大切な原則があります。

それは「ご家族が心から納得できる形で故人をお見送りする」ということです。

日本は広く、地域や家によっては、今も六曜を生活の指針として大切にしている文化が根強く残っています。

あるいは、故人自身が生前、日柄をとても気にされていた方だったかもしれません。

もし、どうしても仏滅を避けたいというご家族の強い意向があるならば、それを尊重し、日程を調整するのもまた一つの正しい選択です。

何が正解かという絶対的な答えはありません。

ご家族でよく話し合い、皆様が「こうして送ってあげられて良かった」と思える形を見つけることが、故人にとって何よりの供養になるはずです。

【まとめ】

仏滅にお通夜を行うことに、本来ためらいは不要です。

カレンダーの小さな文字に心を乱されることなく、故人との思い出を語り合い、感謝を伝える時間に集中してください。

日柄という「形」に囚われるのではなく、故人を思う一人ひとりの「心」こそが、最も尊い供養となります。

ただし、葬儀・火葬の日が「友引」に重ならないか、という現実的な確認だけは必ず行いましょう。

予期せぬお別れで、心身ともにお辛い時期かと思います。

この記事が、あなたの不安を少しでも和らげ、心穏やかに故人をお見送りするための一助となれば幸いです。

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