天の川といえば、七夕の夜空を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
多くの人が「七夕の時期にしか見られない」と思い込んでいるかもしれませんが、実は天の川は一年を通じて見ることができます。
しかし、最近では街の明かりが強く、空が明るすぎるため、はっきりと見るのが難しくなっているのが現実です。
今回は、天の川をしっかり楽しむために最適な時期や観測条件について詳しくご紹介します。
「今年こそ美しい天の川を見たい!」という方に向けて、観測におすすめの方角や場所も合わせてご提案します。
天の川が見える時期とは?
実は天の川は一年を通して観察できます。
ただし、都市部では街の明かりが強く、いつでも見ることができるわけではありません。
また、天候やその他の条件によって、観察しやすい時期もあります。
夏から冬にかけての期間は、他の季節よりも見やすいとされていますが、特に七夕の時期が最もおすすめです。
その理由は、夏の天の川の方が冬のものよりも明るく見えるからです。
七夕といえば、現在では7月7日を思い浮かべますが、実際に天の川が最も観察しやすい高さに達するのは、旧暦の7月7日です。
新暦(現行カレンダー)では、この時期が8月中旬から下旬にあたるため、そのあたりを目安に観察すると良いでしょう。
天の川が見える条件とは?
天の川は一年を通して見ることができますが、せっかく見るなら、美しい天の川を観察したいですよね。
美しく見るためには、いくつかの条件が必要です。
まず、天の川を観察する最適な時期ですが、先に触れた通り、旧暦の七夕(現在で言う8月中旬から下旬)が最も観察に適していると言われています。
また、満月の夜に天の川を観察する方もいますが、それはあまりおすすめできません。
理由は、満月の光が強すぎて周囲が明るくなり、天の川がぼやけてしまうからです。
天の川を鮮明に見るには、新月の時期が最適です。
さらに、天の川を観察する際には、見る方角や場所、時間帯にも注意が必要です。
これらのポイントについては、次のセクションでさらに詳しくご説明します。
天の川を観察する方角
天の川は他の星座と同じように、少しずつ動くため、常に同じ方向で見られるわけではありません。
そのため、観察するタイミングに応じて「最適な方向」を確認しておくことが大切です。
天の川は、旧暦の七夕、現在では8月中旬から下旬にかけて見やすいとされており、この時期に観察する場合は、南の方を見てみましょう。
観察の目安として、夏の大三角形(こと座のベガ、わし座のアルタイル、はくちょう座のデネブ)を探すと、これらの星を囲むように天の川が流れているのが確認できます。
また、天の川は東の方から昇り、徐々に南へと移動するため、7月に観察する場合は、南ではなく東の方向に目を向ける必要があります。
天の川を観察する場所
天体観測を行う際には、人工の明かりを避けることが重要です。
街の明かりが強いと空が明るくなりすぎ、天の川を見つけるのが難しくなります。
都市部では、ネオンサインや街灯が明るく、天の川観察には向いていません。
また、高層ビルなどが視界を遮るため、開けた場所が理想的です。
そのため、天の川を観察するには、街を離れて山や広い野原、農村地帯など、明かりの少ない場所を選ぶと良いでしょう。
山や野原は明かりを遮るだけでなく、視界も広がっているため、天体観測に適した条件が整っています。
海も明かりが少なく、広い視界がありますが、海から上がる水蒸気が空をぼやけさせることがあるため、内陸部の方がよりクリアに観察できることが多いです。
天の川を観察する時間帯
肉眼で見ると、天の川は白い霧のように見えるため、昼間の明るい時間帯には確認することができません。
天の川を観察するには、日が沈んだ後、空が暗くなったタイミングが最適です。
夏は日が長いため、18~19時ではまだ空が明るいことがあります。
そのため、20~21時ごろが最も観察に適した時間帯です。
もちろん、21時以降でも天の川を観察することはできますが、遅くなると翌日の生活に支障をきたすこともありますので、特にお子さんを連れている場合は注意が必要です。
無理なく観察したい場合は、21時を目安にすると良いでしょう。
天の川を撮影するためのコツ
現代のデジタルカメラは非常に高性能ですが、天の川を鮮明で美しく撮影したいのであれば、デジタル一眼レフカメラやミラーレス一眼カメラが理想的です。
撮影場所や時間、方角については前述の通りです。
カメラを持参して撮影を開始する際のポイントは、ISO感度を上げて、長時間(30秒以上)の露光を行うことです。
ISO感度は、センサーが光をどれくらい感知するかを示す設定で、通常は100に設定されています。
(カメラの初期設定ではオートに設定されており、カメラが自動的に調整します)
ISO感度が高いほど感度が良くなりますが、カメラによっては設定可能な上限が異なり、高性能なカメラではISO12800や16000といった高設定も可能です。
ただし、ISO感度が高すぎると画像にノイズ(ざらつき)が生じるため、3200や6400あたりの中間値で撮影するのがベストです。
また、手持ちで撮影すると手振れが生じやすいため、三脚を使用してカメラを安定させることをおすすめします。
天の川は広範囲にわたるため、広角レンズを使用するとより効果的に撮影できます。
天の川観測に役立つアイテム
天の川観察に持参すると便利なアイテムには、以下のものがあります。
双眼鏡
天の川を探し始める時には、夏の大三角形を目印にすることが一般的です。
双眼鏡があれば、星座や月をより鮮明に観察でき、観測がさらに楽しくなります。
星座早見表
夜空を見上げると、「あの星は何だろう?」と思うことがありますよね。
そんな時に役立つのが星座早見表です。
ヘッドライトや懐中電灯
暗い場所を歩く際には、ライトが必須です。
特に野外で観察する際は、安全のためにも必ず持参しましょう。
レジャーシート
寝転んでゆっくり天体観測をしたい場合、レジャーシートがとても便利です。
防寒具
夏の夜でも、山や広い野原では気温が急に下がることがあります。
そのため、軽い上着や防寒具を持参すると安心です。
お菓子などの軽食
観測が長時間にわたる場合、周辺にお店がないことが多いため、チョコレートなどの軽食を持っていくと良いでしょう。
まとめ
天の川は一年を通して観察できますが、都市部ではほとんど見ることができません。
天の川を観察するには、街を離れた山や広い野原、農村地帯など、明かりの少ない場所が最適です。
特に夏の時期が観測に適しており、8月中旬から下旬の新月の夜は、天の川がはっきりと見える絶好のタイミングです。
天気が良い日には、20~21時を目安に観測に出かけてみましょう。