7月7日といえば七夕。
旧暦ではこの日が七夕ですが、現代の暦では8月7日頃に当たるため、8月に七夕を祝う地域もあります。
七夕の風習といえば、願い事を書いた短冊を笹の葉に吊るすことが広く知られていますが、なぜ短冊に願いを託すようになったのでしょうか?
今回は、短冊の由来やその背後にある七夕伝説について詳しく解説し、願い事をする理由を紐解いていきます。
調べてみると、短冊の習慣には織姫の物語が深く影響していることが明らかになりました。
七夕に短冊で願い事をする理由
七夕に願い事を書いた短冊を笹に飾る習慣は、江戸時代に始まったとされています。
この行事は、日本の神事である「棚機(たなばた)」と、中国の伝統行事「乞巧奠(きこうでん)」が融合したことが起源と考えられています。
棚機では、若い女性が水辺の小屋で神に捧げる布を織り、豊作を祈願しました。
一方、乞巧奠は、織姫の器用さにあやかり、裁縫や機織りの腕前が上達するように星に願いをかける行事です。
これらの文化が合わさり、宮中では梶の葉に和歌を書いて飾る風習が生まれ、江戸時代に入ると学問や書道の上達を願って短冊を笹に吊るす形に変わりました。
短冊に願いを書く背景
七夕はもともと、裁縫や織物の技術の上達を願う行事でしたが、江戸時代には学問や詩歌の上達も祈るようになりました。
その際、サトイモの葉に溜まる露で墨をすり、その墨で願いを書くと良いとされていました。
サトイモの葉は天の川の水を受ける象徴とされ、神聖な露で墨をすると願いが叶うと信じられていたのです。
なお、短冊に願い事をするのは日本独特の風習であり、中国にはありません。
また、梶の葉に和歌を書いていた時代から紙の短冊へと変わったのは、梶の葉が紙の材料でもあったためと考えられています。
短冊の色が持つ意味
短冊に願いを書くとき、単色の白い紙だけを使うと思われがちですが、実際にはさまざまな色が使われています。
それぞれの色には異なる意味が込められているのです。
七夕の風習には中国の「陰陽五行説」の影響があります。
この思想では、物事は「木・火・土・金・水」の五つの要素から成り立ち、これらに関連する「五徳」が存在します。
この五徳の考え方が、七夕の五色の糸や短冊の色の意味に結びついています。
- 青:人間的成長や人格向上
- 赤:家族や先祖への感謝
- 黄:友情や信頼関係の充実
- 白:誠実さとルールの尊重
- 紫(黒):学問や知識の習得
例えば、友情を深めたいなら黄色、学業成就を願うなら紫の短冊を選ぶと良いでしょう。
笹の葉に短冊を吊るす理由
七夕の飾りといえば笹が欠かせませんが、なぜ笹が選ばれるようになったのでしょうか。
その理由の一つは、笹が古来より神聖な植物とされてきたことにあります。
厄除けのために笹の葉で体を拭う風習があり、殺菌効果が期待できることから、お供え物の下に敷いて食べ物の腐敗を防ぐためにも利用されてきました。
これらの背景が、七夕で笹が用いられる理由の一つです。
また、笹は力強い生命力を持ち、天に向かってまっすぐ伸びることから生命の象徴とされてきました。
さらに、風に揺れる笹の葉が立てる音は神様を招く音と信じられていたため、神聖な行事である七夕にふさわしい植物と考えられていたのです。
短冊以外の七夕飾りの意味
折り鶴
鶴は長寿の象徴とされ、健康と長生きを願って飾ります。
星飾り
七夕は星に願いをかける行事のため、星形の飾りが使われます。
吹き流し
織姫が用いたとされる五色の糸を象徴し、五色で作るのが理想的です。
紙衣(かみこ)
織姫の裁縫の技術にちなみ、裁縫の上達を願う飾りです。
また、人形が厄除けとして使われていたことから、厄払いの意味もあり、「一生衣類に困らない」とも言われています。
網飾り
もとは漁師が大漁を祈願したものが、食べ物に困らないようにとの願いへと変わりました。
屑籠(くずかご)
節約と整理整頓の象徴で、物を大切にする心を表します。
くす玉
魔除けとして飾られます。
提灯
提灯の光が願いを星に届け、心を明るく照らす願いが込められています。
輪飾り
輪が連なる形は、夢や希望が次々と繋がり叶うことを表しています。
まとめ
七夕の短冊は色ごとに異なる願いを象徴します。
成長や人格の向上を願うなら青、感謝や健康を願うなら赤、良好な人間関係を築きたいなら黄色、規律を守る心を育てたいなら白、学問や知識を深めたいなら紫(黒)を選びましょう。
短冊を手作りするのも素敵な楽しみですが、急ぎの場合や大量に準備したいときには、通販を利用するのも便利です。