年末年始に飾るお正月飾り(しめ縄・門松・鏡餅)は、新年を迎える大切な準備のひとつです。
ここでは、飾り始めと片付けの適切なタイミングについて詳しくご紹介します。
お正月飾りとは?
お正月飾りは、年神様をお迎えし、もてなすための飾りです。
主な種類とその意味を見てみましょう。
- 門松:年神様が迷わず訪れるための目印
- しめ縄:邪気を払う結界の役割
- 鏡餅:年神様へのお供え物
これらの飾りには、それぞれ深い意味が込められています。
いつからいつまで飾る?
街では12月に入るとお正月飾りが並び始めますが、正式にはいつ飾るのが良いのでしょうか?
飾り始めの時期
お正月飾りは12月13日以降に準備を始め、28日までに飾るのが理想的とされています。
特に最近では、クリスマスが終わった26日〜27日頃に飾る家庭も増えています。
- 12月28日:「八」は末広がりの数字で縁起が良い
- 12月30日:28日に間に合わない場合はこの日でも可
避けるべき日
- 12月29日:「二重苦」を連想させるため不吉
- 12月31日:「一夜飾り」となり、年神様に失礼とされる
片付けの時期
お正月飾りは「松の内」が終わるタイミングで片付けます。
- 関東・東北・九州など:1月7日
- 関西など一部地域:1月15日
近年は、七草がゆを食べる1月7日までに片付けるのが主流ですが、地域の習慣に従うのが望ましいでしょう。
各お正月飾りの飾り方と期間
門松
門松は玄関や門の両側に飾るのが一般的ですが、1本でも問題ありません。
元々は神様を迎えるために庭に1本立てる習慣がありましたが、神社の影響で次第に2本一対で飾るスタイルが定着しました。
- 飾る期間:12月26日〜28日が理想
- 片付ける時期:松の内が明ける1月7日または15日
しめ縄
しめ縄も門松と同じく、12月25日〜28日の間に飾るのが一般的です。
- 避ける日:12月29日、31日
- 片付ける時期:松の内が終わる1月7日または15日
鏡餅
鏡餅は12月13日から28日の間に供えます。
特に28日は「八」が末広がりの意味を持つため、縁起が良いとされています。
- 片付ける時期:1月11日の「鏡開き」
破魔矢
破魔矢はお正月飾りのひとつとして、12月13日以降に飾ります。
- 避ける時期:年明け後に飾ること
- 片付ける時期:松の内終了後。ただし、厄除けの意味で一年中飾る家庭もあります。
羽子板
羽子板は「正月事始め」の12月13日から飾るのが一般的で、松の内(1月7日または15日)まで飾ります。
- 地域によっては:ひな祭りまで飾る場合や、一年中飾ることもある
お正月飾りの適切な処分方法
どんど焼きで処分する
お正月飾りの最も一般的な処分方法は、1月15日に行われる〝どんど焼き〟で焼納することです。
どんど焼きは、正月飾りを集めて火にくべる伝統行事で、地域の神社や自治体が主催することが多いです。
(※地域によっては「どんと焼き」や「左義長」とも呼ばれます。)
この火にあたると無病息災や商売繁盛、五穀豊穣のご利益があるとされ、また書き初めを燃やすことで字が上達するといわれています。
燃えた灰を自宅周辺に撒くことで魔除けの効果があると伝えられていますが、地域や神社によっては灰の持ち帰りが禁止されている場合もあるため、事前に確認しましょう。
どんど焼きは一般的に1月15日に行われますが、地域によって日程が異なる場合があるため、近くの神社や自治体の案内を確認しておくと安心です。
また、神社によっては事前予約が必要な場合や、直接持ち込み可能な場合があるので、こちらも事前に問い合わせるとよいでしょう。
どんど焼きに持ち込めなかった場合は、神社の古札納め所に納めることで、適切に処分してもらえることがあります。
ただし、すべての神社で対応しているわけではないため、事前に確認することをおすすめします。
自宅で処分する方法
どんど焼きに参加できない場合は、自宅で処分することも可能です。
自治体のゴミ収集ルールに従い、一般のゴミとして処分できます。(分別方法は各自治体の規定に従ってください。)
ただし、お正月飾りは歳神様を迎えるための神聖なものです。
そのため、直接ゴミとして捨てることに抵抗がある方もいるかもしれません。
その場合は、以下の手順を踏むと気持ちよく処分できます。
- 半紙や白い紙を用意する。
- 盛り塩をしてお清めする。
- お正月飾りを白い紙に包む。
- 他のゴミと分けて処分する。(気にならない場合は一緒に捨てても問題ありません。)
正月飾りの起源と知識
お正月には、門松、しめ縄、玉飾り、破魔矢、鏡餅、羽子板などが飾られます。
特に、現代でも広く受け継がれているのが「門松」「しめ縄」「鏡餅」の3つです。
それぞれの由来をご存じでしょうか?
門松の起源
門松は、家の前に設置することで神様が訪れる目印になると考えられています。
お正月には天の神様が地上へ降り、各家庭を訪れるとされています。
その際に門松を飾ることで、「神様を迎える準備が整っています」と伝える意味があるのです。
この神様とは、五穀豊穣や家庭の安全をもたらす神々であり、ご先祖様も含まれます。
松が選ばれた理由は、常緑樹には神が宿ると信じられていたためです。
また、「松」は「祀る」「待つ」に通じることから、門松として用いられるようになりました。
しめ縄の起源
しめ縄の起源は、日本神話に登場する「天照大神の岩戸隠れ」に由来しています。
天照大神は太陽の神であり、彼女が岩屋に閉じこもると世界は暗闇に包まれてしまいました。
困った神々は岩屋の前で賑やかに舞を披露し、天照大神の興味を引きます。
外の様子を覗いた瞬間、神々は彼女を引き出し、再び隠れないように岩戸にしめ縄を張りました。
この故事から、しめ縄は「神聖な領域と現世を隔てるもの」「邪気を寄せ付けないもの」としての役割を持つと考えられています。
鏡餅の起源
鏡餅の由来は、古くから鏡が神聖なものとされてきたことにあります。
現代の鏡は薄く平たい形をしていますが、古代の鏡は青銅製で、丸く厚みがあるものでした。
その形が鏡餅に似ていることから、神様の依り代として用いられるようになったのです。
また、「己を鑑みる」という意味から、「鑑餅」が「鏡餅」になったともいわれています。
まとめ
お正月飾りは、12月13日の「正月事始め」から飾り始め、各地域の「松の内」の期間まで飾るのが一般的です。
松の内の期間は、関東では1月7日、関西では1月15日が主流となっています。
地域によって異なる場合があるため、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。
また、関東と関西では「鏡開き」の日も異なり、関東では1月11日、関西では1月20日に行われます。
鏡餅はお正月飾りの中で唯一食べることができるもので、歳神様の力を授かるとされています。
正月飾りを片付ける際には、鏡開きの日を確認し、鏡餅をいただいて一年の健康と幸福を願いましょう。