「この日は『大安』だから縁起がいいね」
「結婚式は『仏滅』を避けたほうがいいかな？」
カレンダーの隅に書かれた「大安」や「仏滅」といった言葉。
これらは「六曜（ろくよう）」と呼ばれ、私たちの生活に古くから根付いている暦の注記です。
なんとなく吉凶に関係することは知っていても、それぞれの意味を詳しく知っている方は少ないかもしれません。
特に「友引（ともびき）」は、「友」という字が入っているだけに、お祝いごとに関係がありそうですよね。
しかし、「友を引く」と書くことから、「良い意味なの？それとも不吉な意味？」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんな「友引」の意味を基本から徹底的に解説します。
さらに、大安や仏滅といった他の六曜の意味、現代における六曜との上手な付き合い方まで、知っておくと必ず役立つ知識をたっぷりとご紹介します。
大切な人へのお祝いの気持ちを、日取りの選び方という形で、より深く表現してみませんか？
そもそも「六曜」ってなに？ カレンダーの小さな文字に隠された深い意味
六曜とは、先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口の6種類が、決まった順番で日にちごとに割り振られたもの。
もともとは中国から伝わった、時刻の吉凶を占う考え方が元になっており、日本では鎌倉時代から江戸時代にかけて、日々の吉凶を占う指標として民衆の間に広まりました。
科学的な根拠はありませんが、一種のゲン担ぎや、物事をスムーズに進めるための知恵として、今なお私たちの文化に深く息づいています。
それでは、それぞれの六曜が持つ意味を見ていきましょう。
主役登場！「友引」を120%活用する完全ガイド
さて、いよいよ本題の「友引」です。
他の六曜との違いを理解した上で、その意味をさらに深く掘り下げていきましょう。
「幸せをおすそ分けする」最高のギフトデー
前述の通り、友引はもともと「共引」と書かれ、勝負がつかない日とされていました。
そこから転じて、「良いことも悪いことも、周囲の人に影響を及ぼす日」と考えられるようになったのです。
この「幸せを友に引く（おすそ分けする）」というポジティブな側面が強調され、友引はお祝い事に適した日として定着しました。
大切な友人の幸せな出来事を、まるで自分のことのように喜ぶ。
そんな日本人の美しい感性が、「友引」という日を特別なものにしているのかもしれません。
出産・結婚祝いに友引が喜ばれる本当のワケ
「あなたの赤ちゃんが無事に生まれた幸せを、私たちにも分けてね」
「二人の輝かしい門出の喜びを、分かち合わせてください」
出産祝いや結婚祝いに友引の日を選ぶのは、こうした温かいメッセージを暗に伝える行為です。
プレゼントそのものに加えて、日取りにまで気を配ることで、相手を思う深い気持ちが伝わります。
特に、お相手のご両親や親族が六曜を大切にしている場合、この心遣いは非常に喜ばれることでしょう。
要注意！友引の「昼」と「弔事」のルール
良いことずくめに見える友引ですが、二つの重要な注意点があります。
一つは「お昼の時間帯（午前11時頃～午後1時頃）は凶」とされること。
これは、陰陽道においてこの時間帯が鬼の休憩時間にあたり、不吉だと考えられていたことに由来すると言われています。
お祝いの品を届けたり、発送手続きをしたりする際は、この時間帯を避けるとより丁寧です。
そしてもう一つは、お葬式などの弔事を絶対に避けること。
「不幸せなことを友に及ぼす」という意味合いから、故人が親しい人をあの世へ連れて行ってしまう（冥土へ引く）と解釈されるためです。
現在でも、多くの火葬場が友引を休業日に定めており、社会的な慣習として根付いています。
これってOK？友引と他のイベントの相性
- 納車：
『友を（車で）轢く』という語呂合わせから、縁起が悪いと避ける人がいます。
ディーラー側も気にする場合があるので、気になるなら大安などを選ぶのが無難です。 - 開店・開業祝い：
「友（顧客）を引いて商売繁盛に繋がる」と解釈され、吉とされています。 - お見舞い：
「友の病を自分に引いてしまう」と考えられるため、避けた方が良いという意見もあります。
このように、イベントの内容によって解釈が変わるのが面白いところです。
迷ったときは、ポジティブな意味合いを大切にすると良いでしょう。
六曜は古い？いえいえ、現代社会を生き抜く「処世術」です
「今どき六曜なんて気にするのは古い」と感じるかもしれません。
しかし、その知識は、現代社会においても人間関係や経済活動を円滑に進めるための、優れた「処世術」となり得ます。
理由① 人間関係を円滑にする「思いやりの作法」
あなたが気にしなくても、結婚祝いを贈る相手のご両親、取引先の年配の役員、地域社会の重鎮など、六曜を大切にされている方は想像以上に多くいます。
例えば、上司への昇進祝いを仏滅に贈ってしまったらどうでしょう。
あるいは、大切な契約の日取りを赤口に設定してしまったら？
相手によっては「配慮が足りない」「縁起を担がない人だ」と、あなたの評価に影響しないとも限りません。
日取りに少し気を配るだけで、「自分のために良い日を選んでくれた」という心遣いが伝わり、信頼関係が深まります。
六曜は、世代や価値観が違う人とのコミュニケーションを円滑にする、見えない潤滑油の役割を果たしてくれるのです。
理由② 知らないと損！賢く使う「お日柄節約術」
六曜の知識は、あなたの財布を助けることにも繋がります。
最も分かりやすいのが、結婚式場の料金です。
お祝い事に人気の「大安」や「友引」の週末は、予約が殺到するため料金が最も高く設定されています。
逆に、一般的に避けられる「仏滅」は、同じ内容のプランでも数十万円単位で安くなる「仏滅割」などが用意されていることも珍しくありません。
もし、親族や招待客が六曜を気にしない合理的な考えの持ち主ばかりなら、あえて仏滅を選ぶことで、大幅なコストカットが可能です。
浮いた費用を新婚旅行や新生活の資金に充てるという、非常にスマートな選択ができるのです。
これは引っ越し料金などにも応用できる、まさに知っている人だけが得をする節約術と言えるでしょう。
もっと運気を味方に！六曜と組み合わせたい「最強開運日」
さて、日々の吉凶を占うのは六曜だけではありません。
カレンダーには、さらに強力な運気を持つとされる「スペシャルデー」が存在します。
これらと六曜を組み合わせることで、運気を最大限に高めることができるのです。
究極のラッキーデー「天赦日」と「一粒万倍日」
- 天赦日（てんしゃび）
「天がすべての罪を赦（ゆる）す日」とされ、暦の上で最上の吉日と言われる、まさにプレミアムデー。
年に5～6回しかなく、この日に始めたことは何事もうまくいくとされています。 - 一粒万倍日（いちりゅうまんばいび）
「一粒の籾（もみ）が、万倍にも実る稲穂になる」という意味を持つ吉日。
手元にあるわずかなものが、将来的に大きく増えることを示唆しており、何かを新しく始めるのに最適です。
財布の新調、宝くじの購入、起業、習い事始めなどに良いとされます。
この「天赦日」や「一粒万倍日」が、「大安」と重なる日は、最強の開運日と言われています。
入籍やマイホームの契約など、人生の一大イベントの日取りとして、これ以上ないほど縁起の良い日です。
吉日と凶日が重なったらどうする？
カレンダーを見ていると、「一粒万倍日」と「仏滅」が重なっている日などがあります。
このような場合、どう考えれば良いのでしょうか。
これには様々な解釈がありますが、一般的には吉日の効果が凶日の悪影響を打ち消す、あるいは半減させると考えられています。
ただし、どうしても気になる場合は、重要な決断や行動は避けるのが心の平穏に繋がるでしょう。
まとめ：六曜は、未来を明るくするコミュニケーションツール
友引は「幸せのおすそ分け」に最適な、お祝い事にぴったりの吉日です。
そして六曜全体を見渡せば、日々の行動の指針となる、奥深い知恵が隠されていました。
現代において、六曜を盲信する必要はありません。
しかし、その意味を知り、暮らしの中にうまく取り入れることで、人間関係はより円滑になり、物事を始めるきっかけも掴みやすくなります。
六曜は、単なる古い迷信ではなく、大切な人との関係をより良くし、自分の未来をポジティブに後押しするための、古来より伝わるコミュニケーションツールなのです。
次にお祝いごとや何か新しい挑戦をする際は、ぜひカレンダーの「お日柄」をチェックして、運気を味方につけてみてはいかがでしょうか。
