しめ飾りの起源と意味とは?正しい飾り方や処分方法も詳しく解説

しめ縄

12月になると、スーパーやホームセンターで「お正月飾り」のコーナーが登場します。

その中でも特に目を引くのが、多種多様なしめ飾りではないでしょうか。

しめ飾りは、しめ縄に縁起物を組み合わせたものですが、なぜ正月にしめ飾りを飾るのか、ご存じでしょうか?

意味や由来を知ることで、ただ飾るだけではなく、より深い思いを込めて正月を迎えることができます。

この記事では、しめ飾りの由来や込められた意味、飾る際のポイント、そして役目を終えた後の処分方法について詳しく解説します。

この記事を読めば、しめ飾りについての基礎知識がすべて分かります!

しめ飾りの起源とその意味

しめ飾りは、しめ縄に縁起物を加えたもので、主に家庭の玄関や入り口に飾られるお正月の伝統的な装飾品です。

一方、神社で御神木や社殿周辺に張られている縄を見たことがある方も多いと思いますが、それがしめ縄です。

しめ縄は、神聖な空間と日常の世界を区切る役割を果たす、結界としての意味を持っています。

このしめ縄の起源は、日本神話「天岩戸(あまのいわと)」のエピソードにさかのぼります。

天照大神(あまてらすおおみかみ)が岩戸に隠れ、世界が闇に包まれた際、八百万の神々が賑やかな宴と踊りで天照大神を岩戸の外に誘い出しました。

その後、二度と岩戸に閉じこもらないように縄を張り巡らせたのが、しめ縄の始まりと言われています。

こうした背景から、しめ縄は年中神社に存在しますが、しめ飾りはお正月限定で使用されます。

しめ飾りは歳神様を迎え入れるための装飾であり、神聖な空間と日常の境界を示します。

そして、正月の期間が終わると、歳神様をお見送りし、役目を終えたしめ飾りは外されます。

しめ飾りは、単なる飾り物ではなく、古来から伝わる神聖な行事を象徴する重要なアイテムなのです。

しめ飾りの正しい飾り方と向き

しめ飾りを飾る際、特定の向きに関する厳密なルールはありません。

ただし、飾り付けの装飾が正面から見て美しく映えるように配置するのが一般的な飾り方です。

最近では、おしゃれでインテリアとしても映えるデザインのしめ飾りも多く見られるようになりました。

しかし、それぞれの飾りには由来と意味があり、もともとは「歳神様をお迎えするためのもの」として作られています。

そのため、伝統的な縁起物が取り入れられたデザインを選ぶとより良いでしょう。

以下に、しめ飾りによく用いられる飾りとその意味をまとめました。選ぶ際の参考にしてください。

橙(だいだい)

橙は「代々」という言葉に通じ、家系が続くことを祈願する縁起物です。

子孫繁栄の願いが込められています。

ゆずり葉

新しい葉が生えた後、古い葉が落ちる様子から、家系の永続や子孫繁栄を象徴しています。

裏白(うらじろ)

葉の裏が白いことから、潔白や清らかさを意味します。

また、白髪になるまでの長寿を願う象徴としても使われます。

扇の末広がりの形状は、繁栄や幸福の広がりを表しています。

御幣(ごへい)

御幣は神様の依り代とされ、邪気を払い清める意味を持つ神聖な飾りです。

海老

その曲がった形状から老人を連想させ、長寿を祈る縁起物とされています。

昆布

「喜ぶ(よろこぶ)」と「昆布(こんぶ)」の音が似ていることから、縁起物として使われています。

また、子持ち昆布にちなみ、子孫繁栄の意味も込められています。

紙垂(しで)

神聖な空間と現世を分ける結界を象徴する飾りです。

南天

「南天(なんてん)」の読みが「難を転じる(なんをてんじる)」に通じるため、災難除けの縁起物として用いられます。

鶴と亀

長寿を象徴する動物として、鶴と亀はそれぞれ「天」と「地」に結びつき、健康と長生きを願う飾りです。

しめ飾りを飾るのに適した場所とは

しめ飾りは、歳神様をお迎えするための目印として使われるため、一般的には玄関や門に飾るのが基本とされています。

また、家に神棚がある場合は、歳神様の依り代として神棚にも飾ることが推奨されます。

ただし、一部の地域では神棚にはしめ縄を飾るべきだとする風習もあるため、地域ごとの習わしを大切にしたい場合は、地元の神社に相談して確認すると良いでしょう。

日本には古くから、神道と仏教が共存してきた文化的背景があり、歳神様のほかにも水神や火の神などをお迎えする風習があります。

そのため、台所や浴室、トイレなど特定の場所にも小型のしめ飾りを飾る地域があります。

しめ飾りには厄除けの意味もあるため、家の中で特に気になる場所に飾る人も少なくありません。

しめ飾りを飾る期間とは

しめ飾りを飾る期間は、12月13日から1月7日、または1月15日までとされています。

この期間は「松の内」と呼ばれ、歳神様が家庭を訪れる時期とされています。

12月13日は「すす払い」という行事の日で、家を清めて新年の準備を始める「事始め」の日とされます。

ただし、現代ではこの日に特にこだわらず、大掃除を終えた後の年末にしめ飾りを飾る家庭も多くなっています。

しめ飾りを飾る際に避けたほうが良いとされる日は、12月29日と12月31日です。

12月29日は「二重の苦」を連想させ縁起が悪いとされ、12月31日は「一夜飾り」となり、準備不足や軽率さを示すと考えられ、不吉とされています。

そのため、しめ飾りを飾るのに最も適した時期は12月28日までです。

この日までに飾り付けを終えておくことで、清らかな気持ちで歳神様を迎える準備を整えることができます。

松の内の期間が関東と関西で異なる理由

松の内とは、正月飾りを飾る期間を指し、関東では1月7日まで、関西では1月15日までと地域によって異なります。

この違いの背景には歴史的な経緯があります。

もともと松の内は全国的に1月15日までで、1月20日が鏡開きの日とされていました。

しかし、江戸時代に三代将軍徳川家光が4月20日に亡くなり、その月命日にあたる1月20日が鏡開きの日と重なることを避けるため、鏡開きの日を1月11日に変更することになりました。

この変更により、鏡開きを松の内の期間外で行う必要が生じたため、関東では松の内を1月7日までに短縮する形が取られました。

一方で、関西では旧来の習慣が残り、1月15日まで松の内とする地域が多くなっています。

このように、地域の伝統や歴史が松の内の期間に影響を与えているのです。

しめ飾りの正しい処分方法

正月の役目を終えたしめ飾りは、通常、小正月(1月15日)前後に神社に持参し、お焚き上げしてもらうのが一般的です。

この行事は地域によって「どんど焼き」や「左義長」などと呼ばれ、多くの神社で行われています。

もし神社に行けない場合や、近隣に神社がない場合は、しめ飾りを一般ごみとして処分することも可能です。

その際は、塩やお酒で清めてから処分したり、紙に包んで丁寧に扱うことで、より気持ちを込めて手放すことができます。

しめ飾りは、毎年新しいものを用意するのが基本です。

一度使用したものを翌年に使い回すことは避け、前年のしめ飾りは適切に処分して新しい年を迎える準備を整えましょう。

まとめ

しめ飾りは、しめ縄に縁起物を組み合わせた日本の伝統的な正月飾りです。

それぞれの飾りには特別な意味が込められており、家族の願いや思いに合ったものを選び、松の内の期間中に適切な場所に飾ることが大切です。

松の内の期間は、関東では1月7日まで、関西では1月15日までと地域ごとに異なるため、地元の習慣を尊重して飾り付けを行いましょう。

使用後のしめ飾りは、可能であれば神社でお焚き上げしてもらうのが理想ですが、やむを得ない場合は清めてからごみとして処分する方法もあります。

新しい年を迎える際には、新調したしめ飾りを用意することが、正しい作法とされています。

 

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