結婚式や入籍、七五三。
人生の大切なイベントは、やっぱり縁起の良い日を選びたいですよね。
やっとの思いで理想の式場を見つけたのに、「希望の『大安』は、なんと1年先まで予約でいっぱいです…」と言われてがっかりしたり。
費用を少しでも抑えたいけれど、縁起が悪いのは気になる…と、日取りのことで頭を悩ませてはいませんか?
そんなとき、ふと目に入るのが「先負(せんぶ)」の日。
『負ける』という漢字のネガティブなイメージから、なんだか敬遠しがちですが、それは大きな勘違いです。
実は、「先負」の意味を正しく知れば、とってもお得でハッピーな一日になる可能性を秘めているのです。
この記事では、そんな「先負」を賢く味方につける、新しい日取り選びの知恵を、さらに詳しく、深くご紹介します。
そもそも「先負」ってどんな日?「負け」じゃない本当の意味
「先負」は「せんぶ」と読むのが一般的ですが、「せんぷ」や「さきまけ」と読む地域もあります。
これは「六曜(ろくよう)」と呼ばれる、カレンダーでよく見かける日柄の吉凶を占う考え方の一つです。
「六曜」にはご存知「大安」を筆頭に、「友引」「先勝」「先負」「赤口」「仏滅」の6種類があります。
「大安」が最も縁起が良く、「仏滅」が最も悪い日とされていますが、「先負」はその中で4番目。
決して縁起の悪い日というわけではないのです。
「負」という字からネガティブに捉えられがちですが、本来の意味は「先んずれば、すなわち負け」。
つまり、「何事も急いだり、慌てて行動したりするとうまくいかないよ」という、”急がば回れ”の精神を教えてくれる日なのです。
この考え方から、「先負」は午前中が「凶」、そして運気が好転する午後が「吉」とされています。
午前中は重要な決断を避け、心を落ち着けて準備や計画に充てる時間。
そして、午後から満を持して行動を起こすのが良い、というわけです。
一日の過ごし方に少しメリハリをつけるだけで、十分お祝い事に使える縁起の良い日時に変わるのです。
「先負」だけじゃない!他の六曜との違いを知ろう
「先負」の立ち位置をより深く理解するために、他の六曜も簡単にご紹介します。
- 先勝(せんしょう):
「先負」の対になる日で「先んずれば、すなわち勝ち」。
こちらは午前が吉、午後が凶とされています。 - 友引(ともびき):
「幸せを友に引く」とされ、結婚式などお祝い事には「大安」に次いで人気です。
ただし、昼(11時~13時頃)は凶とされ、また「友を冥土へ引く」と連想されるためお葬式は避けられます。 - 赤口(しゃっこう):
一般的に凶日とされ、特にお祝い事は避ける傾向があります。
唯一、昼(11時~13時頃)だけが吉とされています。 - 大安(たいあん):
言わずと知れた吉日。
「大いに安し」の意味で、一日を通して万事によいとされています。 - 仏滅(ぶつめつ):
「仏も滅するような大凶日」とされ、お祝い事は避けられがちです。
しかし、近年では「物事が滅び、新たに始まる」と捉え、引越しなどには良いという解釈もあります。
こうして見ると、「先負」は時間帯さえ意識すれば、十分に活用できる日であることがお分かりいただけるでしょう。
【シーン別】午後を狙え!「先負」を賢く活用するお祝い事ガイド
「午後からが吉」という「先負」の特性を活かせば、様々なイベントをお得に、そしてスムーズに進めることができます。
具体的な活用術を見ていきましょう。
入籍・結婚式|午後スタートで、ロマンチックもお得も手に入れる
入籍や結婚式も、午後に行うなら全く問題ありません。
例えば、午前中はゆったりと身支度や親族紹介、写真撮影を行い、夕暮れの光が差し込む美しい時間帯に挙式をスタート…なんて、とてもロマンチックだと思いませんか?
ナイトウェディングで幻想的な雰囲気を演出するのも素敵です。
また、現実的なメリットも大きいのが魅力。
「大安」に比べて予約が取りやすいのはもちろん、式場によっては料金が割引になることも。
さらに、遠方からのゲストも午前中に移動できるため、参加しやすいという声も聞かれます。
賢く日取りを選びたいカップルにとっては、まさに狙い目の日と言えるでしょう。
お宮参り・七五三|お子様ファーストで、柔軟な選択を
お子様の健やかな成長を願うお宮参りや七五三。
朝早くから慣れない衣装に着替え、窮屈な草履を履いて…というのは、小さなお子様にとって大きな負担になります。
「先負」の午後から準備を始めると、お子様が疲れてご機嫌ななめ…なんてことも。
神社は午前中の清々しい時間帯が良いとも言われます。
どうしても「先負」の日しか都合がつかない場合は、ご祈祷だけを午後に行い、写真撮影は別の日にする「前撮り・後撮り」を利用するのも非常に賢い選択です。
何よりもお子様のコンディションを優先し、家族みんなが笑顔で過ごせる方法を探しましょう。
納車・引越し|混雑を避け、新しいスタートをスムーズに!
納車や引越しも、午後から始めれば縁起は「吉」となります。
特に引越しは、人気の「大安」や土日を避けることで、業者によっては「午後便割引」のようなお得なプランを利用できることがあります。
例えば、午前中に旧居の最終的な掃除や荷造りチェックを済ませ、午後からゆっくりと新居へ移動を開始するという段取りなら、心にも時間にも余裕が生まれます。
納車も同様に、ディーラーの混み合う日を避けることで、担当者からじっくりと説明を聞き、自分のペースで新しい車と対面できます。
新しい生活のスタートを、慌ただしくなく、穏やかに切ることができるでしょう。
お祝いを渡すとき|相手への配慮が、最高の贈り物に
出産祝いなどを相手の自宅へ持参する場合も、午後からの訪問が吉。
これは縁起だけでなく、現代のライフスタイルに合った心遣いでもあります。
午前中は家事や育児で慌ただしくしていることも多いため、相手が少し落ち着いた午後に伺うのは、素敵な思いやりと言えるでしょう。
日取り選びで失敗しないための「心配り」
六曜を気にしない人が増えているとはいえ、ご両親や祖父母の世代には、日柄を大切にする方もいらっしゃいます。
こうした価値観の違いは、六曜の習慣が一般に広まったのが戦後と、実は比較的新しいことに起因します。
世代によって捉え方が違うのは、ごく自然なことなのです。
大切なのは、関係者みんなが気持ちよくその日を迎えられること。
もし、日取りに敏感な方がいる場合は、「お日柄を大切にされていると思うのでご相談なのですが、この日の午後から行うのはどうでしょうか?」と、相手を敬う姿勢で相談してみましょう。
その優しいひと言が、お祝い事をさらに素敵なものにしてくれるはずです。
【まとめ】日取り選びはもっと自由に、あなたらしく!
「先負」は、決して縁起の悪い日ではありません。
「急がず、慌てず、午後からゆっくり」が幸運を呼ぶ、先人の知恵が詰まった一日です。
人気の「大安」が予約でいっぱいでがっかり…なんて思う必要はもうありません。
「先負」の午後を上手に選べば、費用を抑えられたり、スムーズに予定が進んだりと、嬉しいメリットがたくさん待っています。
六曜は、私たちの生活を豊かにするための、あくまで目安の一つです。
何よりも大切なのは、お祝いをする当人たちが幸せな気持ちでその日を迎え、周りの人々が心から祝福してくれること。
六曜の本当の意味を知って賢く日取りを選び、あなたらしい、最高の記念日を創り上げてくださいね。