【法事の日取り】赤口は避けるべき？カレンダーの「六曜」に振り回されない、後悔しない日取りの決め方

大切な故人を偲ぶ、法事の日取り。

一周忌、三回忌、そして四十九日…。

「そろそろ日程を決めないと」とカレンダーをめくった時、
「この日は赤口か…縁起が悪い日なのかな？」
「仏滅だけど、ご供養なのに大丈夫だろうか」
「親戚に何か言われないかな…」
と、ふと手が止まってしまった経験はありませんか？

特に「赤口（しゃっこう／しゃっく）」や「仏滅（ぶつめつ）」といった「凶日」の文字を見ると、大切な法事だからこそ、これで良いのかと不安になってしまいますよね。

でも、ご安心ください。

結論から申し上げますと、赤口や仏滅といった日に法事を行っても、まったく問題ありません。

この記事では、なぜ六曜を気にする必要がないのかという理由から、本当に大切にすべき日取りの決め方、そして周囲への細やかな配慮まで、一歩踏み込んで詳しく解説していきます。

カレンダーの吉凶に悩むことなく、故人も家族も心から安心できる一日を選ぶために、ぜひ最後までじっくりお読みください。

そもそも「赤口」や「六曜」って何？仏教との関係は？

私たちが普段カレンダーで何気なく目にしている「大安」「仏滅」「赤口」といった言葉。

これらはまとめて「六曜（ろくよう／りくよう）」と呼ばれ、その日の吉凶を占う一種の暦（こよみ）です。

ここで最も大切な、そして根本的なポイントは、六曜は中国で生まれた占いが元になっており、仏教の教えとはまったく関係がないということです。

お寺の住職さんの多くも「法事の日取りと六曜は無関係です」と明言しています。

例えるなら、「今日の星座占い」や「血液型相性診断」のようなもの。

結婚式で「大安」が好まれるなど、日本の文化や冠婚葬祭の慣習として深く根付いていますが、仏教的な意味合いは一切ないのです。

ですから、「仏滅」という文字に「仏」が入っていても、それは単なる偶然。

仏教行事である法事と直接結びつけて、過度に心配する必要はありません。

参考までに、六曜にはそれぞれ以下のような意味があります。

赤口の「赤」は火や血を連想させるため「火の元や刃物に注意すべき日」とも言われますが、これも法事とは直接関係のない俗信です。

「でも、結婚式ではあんなに六曜を気にするのに、どうして法事は気にしなくていいの？」と疑問に思う方もいるでしょう。

それは、「お祝い事（慶事）」と「弔事（ちょうじ）」では、行事の目的が根本的に異なるからです。

お祝い事（結婚式など）：
二人の未来の幸せを願い、縁起を担ぐ行事。
だからこそ、「これから良いことがたくさんありますように」という願いを込めて、吉日を選びます。
弔事（法事など）：
故人の冥福を祈り、過去に想いを馳せて供養する行事。
縁起を担ぐためのものではなく、故人を偲ぶ「気持ち」そのものが最も大切にされます。

未来の幸せを願うか、過去を偲び感謝するか。

この目的の違いが、六曜を気にするかどうかの大きな分かれ道なのです。

では、六曜を気にしない代わりに、何をもとに日取りを決めればよいのでしょうか。

故人にもご親族にも失礼のない、正しい日取りの決め方を3つのステップでご紹介します。

法事の日取りは、まず故人の「命日」から考え始めます。

故人が亡くなった同月同日を「祥月命日（しょうつきめいにち）」と呼び、一周忌や三回忌はこの日に行うのが本来の形です。

とはいえ、祥月命日が平日だと、仕事や学校の都合で皆が集まるのは難しいのが現実です。

そこで、祥月命日よりも前の、皆が集まりやすい土日などに日程を前倒しするのが一般的です。

大切なのは、法事を先延ばしにしないこと。

「仏事は他の何よりも優先すべき」という考えや、「故人を長くお待たせするのは忍びない」という気持ちから、命日より早めるのが古くからのマナーとされています。

前倒しする期間は、概ね1ヶ月以内が目安です。

特に日取り決めで悩むことが多い「初七日」と「四十九日」についても知っておきましょう。

初七日（しょなのか）：
亡くなってから7日目の法要。
葬儀から日が浅く、再び親族に集まってもらうのが難しいため、最近では葬儀当日に初七日法要をまとめて行う「繰り上げ法要」や「繰り込み法要」が主流です。
四十九日（しじゅうくにち）：
亡くなってから49日目の重要な法要。
この日も、当日が平日であれば、直前の土日に行うケースがほとんどです。

このように、法事の日取りは「故人の命日を基準に、皆で集まれるように少し前倒しする」のが基本。

その日がたまたま赤口や仏滅だったとしても、それが故人とご遺族にとって最適な日取りなのです。