暦に興味のある方なら、「不成就日」や「仏滅」という言葉を一度は目にしたことがあるかもしれません。
どちらも、吉日とは反対の「凶日」とされ、何か新しいことを始めるには避けた方が良いとされる日です。
では、実際のところ、この2つの凶日にはどのような違いがあり、重なった場合はどうなるのでしょうか?
また、それぞれの日が持つ意味や起源、そして日常生活にどう影響するのかも含めて、詳しく見ていきましょう。
不成就日と仏滅の違いと由来
不成就日とは
不成就日(ふじょうじゅび)は、「何をやっても成就しない日」とされ、主に新しい物事のスタートには向いていない日とされています。
「選日(せんじつ)」と呼ばれる暦注の一つで、陰陽道に基づいて選ばれる日であることが特徴です。
この日は、旧暦の月ごとにあらかじめ定められた日があり、その日には願い事や始まりごとは叶いにくいと考えられています。
例えば、結婚、引っ越し、契約など、長期的な影響を及ぼすような行為には不向きだとされているのです。
一方で、不成就日は仏教とは直接関係がなく、日本独自の民間信仰に根ざしたものです。
そのため、宗教行事には特に制限はないとされ、あくまで「何かを始める」ことに対しての慎重さを促す日だと言えるでしょう。
仏滅とは
仏滅(ぶつめつ)は「六曜(ろくよう)」の一つで、六つの曜の中で最も凶とされる日です。
「仏も滅するほど縁起の悪い日」と解釈されており、特に慶事との相性が悪いと考えられています。
しかし、その由来には諸説あり、元は「物滅(ぶつめつ)」と書かれていたという説が有力です。
「物が一度終わり、新しいものが始まる」という捉え方も可能で、最近では「再出発にふさわしい日」と考える人も増えてきました。
現代では、多くのカレンダーに六曜が記載されているため、仏滅は非常に知名度が高く、日取りを選ぶ際の参考にされることが多くなっています。
特に結婚式や入籍などの重要なイベントでは、仏滅を避ける傾向が強く見られます。
どちらがより「縁起が悪い」のか?
では、ズバリどちらがより縁起が悪いのでしょうか?
この問いに対しては一概に答えることは難しいのが実情です。
というのも、不成就日と仏滅は、それぞれ異なる暦注に基づいており、縁起の悪さの性質が異なるからです。
一般的な印象で言えば…
・仏滅の方が知名度が高く、避けられることが多い
・不成就日の方が意味が具体的で、特に「何かを始める日」としては最悪
つまり、「みんなが気にする日」としては仏滅、「実際の意味で縁起が悪い日」としては不成就日、というように、それぞれの“怖さ”には違った側面があるのです。
たとえば、友人の結婚式が仏滅に行われたと聞くと「大丈夫かな?」と気になる方も多いかもしれませんが、本人たちが気にしていなければ問題はないという考えも根強くあります。
不成就日と仏滅が重なると運気はどうなる?
この2つの凶日が重なると、「最悪の縁起の日」と言っても過言ではありません。
たとえば、入籍や結婚式、開業や引っ越しなどを予定していた場合、この日を選ぶことは多くの人にとってかなりハードルが高くなるでしょう。
しかし、そこに希望の光をもたらすのが、日本の複雑な暦の仕組みです。
他の暦注との組み合わせで運気が変わる
日本の暦には、六曜や選日以外にも「十二直」「二十八宿」「暦注下段」など、さまざまな要素が存在します。
十二直(じゅうにちょく)
古代中国に由来し、建築や移動、祝い事などに適した日を表します。
たとえば「満(みつ)」や「平(たいら)」は吉日とされており、これが凶日と重なるとバランスを取ってくれると考えられています。
暦注下段(れきちゅうげだん)
「天赦日」や「一粒万倍日」など、特別な吉日を示す要素。
たとえば、天赦日はすべての罪を赦すほどの大吉日とされ、他の凶日を打ち消す力があると信じられています。
二十八宿(にじゅうはっしゅく)
月の運行をもとにした吉凶の暦注。それぞれの宿が独自の意味を持ち、たとえば「鬼宿」は婚礼に凶、「危宿」は開始に向かないなど、目的に応じて適否を見極めます。
このように、複数の吉兆が重なることで、凶日を中和・逆転できる可能性があるのです。
実際に注意すべきことは?
不成就日に避けた方が良いこと
・入籍、結婚式、命名
・開業、契約、登記
・引っ越し、納車、工事の着工
・人生の新たなステップに関するすべてのこと
逆に言えば、普段通りの仕事や家事、買い物などには何の問題もありません。
仏滅に避けるべきこと
・結婚や出産に関するお祝い事
・新車の購入や納車
・新居の引っ越し
・冠婚葬祭のうち「慶事」
とはいえ、葬儀や法要などは仏滅の日に行われることが多く、こちらはむしろ「ふさわしい日」と考えられています。
また、仏滅は一部では「新しいスタートの日」として前向きにとらえる人も増えており、必ずしも「悪い日」と決めつける必要はありません。
暦との向き合い方:信じるかどうかは自分次第
暦の吉凶は、科学的な根拠に基づいているわけではありません。
しかし、古くからの風習や文化として、多くの人々の生活の中に根付いてきました。
それをどう受け取るかは、自分自身の考え方次第です。
・何かを始めるタイミングを大切にしたい人
・周囲の意見や風習を尊重したい人
・自分なりのジンクスや縁起を信じる人
そんな方にとって、暦は「見えない安心」を与えてくれる一つの指針となるでしょう。
実例で学ぶ「不成就日」と「仏滅」の影響
事例①:不成就日に結婚式を挙げたカップルの声
ある夫婦は、スケジュールの都合で不成就日に結婚式を挙げることになりました。
当初は縁起を気にして心配していましたが、当日は晴天に恵まれ、参加者も皆楽しんでくれたそうです。
ただし「式の日取りを親戚から指摘された」というエピソードもあり、後々少し気まずい空気になったことも…。
このように、本人たちが納得していれば良い結果になる場合もありますが、周囲の認識にも配慮する必要があります。
事例②:仏滅に開業したお店が成功した例
東京都内のとあるカフェは、仏滅にグランドオープンを迎えました。
意図的に仏滅を選んだわけではなかったそうですが、その日にしか空きがなかったとのこと。
ところが、その斬新なメニューと心地よい空間が話題となり、口コミで人気が広がり、開業半年でリピーターが絶えない人気店に。
オーナーは「暦に縛られすぎないことも大事」と語っています。
Q&A:不成就日・仏滅に関するよくある疑問
Q1. 不成就日と仏滅が重なった日でも、どうしても外せない予定があります。対処法はありますか?
A. 絶対に避けられない場合は、神社での祈祷やお清めを受ける、縁起の良い色の服を身に着ける、「大安」や「天赦日」のような他の吉日の要素が入っているかを確認するなど、できる限りプラスの要素を取り入れることでバランスを取ることができます。
Q2. 仏滅に宝くじを買うと当たりやすいって本当?
A. 実際のデータで、仏滅に購入した宝くじの当選者が多かったという例があります。
ただしこれは「偶然」と見る見方もありますし、「人が避ける日だからこそ逆に運が味方する」という考え方も。信じるかどうかはあなた次第ですが、試してみる価値はありそうです。
Q3. 仏滅に入籍してはいけませんか?
A. 特に法的な問題は一切ありませんし、最近では「仏滅割引」を提供する式場も増えています。
ただし、家族や親戚が縁起を気にするタイプなら、事前に相談して納得してもらうのがスムーズな進め方です。
縁起が悪い日を「逆転吉日」にする方法
縁起が悪い日だからといって、何もしないのはもったいない!
以下のような「逆転の発想」で、運気を引き寄せる工夫をしてみてはいかがでしょうか?
– お清めアイテムの活用:天然塩やお香を使って、自宅や自分自身を浄化
– パワースポット巡り:神社仏閣に足を運び、気の流れを整える
– 断捨離・掃除:古いものを手放すことで新しい運気を呼び込む
– ポジティブな言葉を使う:言霊の力を信じて、前向きな発言を意識する
まとめ
不成就日と仏滅は、どちらも「新しいことを始めるには避けた方がよい」とされる日です。
しかし、それぞれの意味や由来を知ることで、日取りを選ぶ際の参考にすることができます。
重なると凶の力が強まるとされますが、他の吉日と重なることでその影響を軽減することも可能です。
暦の知恵をうまく活かし、自分にとって納得のいく日取りを選ぶことが、運気を高める第一歩となるでしょう。
縁起に敏感になるのも良いですが、最後は自分自身の気持ちを大切にすることが最も重要です。
大切な日を、心から納得して迎えられるように、暦と上手につきあっていきたいですね。