「土用」と聞くと、ウナギを食べる日を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、土用にはそれ以上の深い意味があり、古くから日本で重要視されてきました。
その中でも特に注意すべき概念の一つに「土用殺」があります。
本記事では、土用殺の意味や、土用の期間中に避けるべき方角について詳しく解説します。
陰陽五行説に興味がある方にも楽しんでいただける内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
土用殺とは?
土用殺とは、土用の期間中に特に避けるべきとされる凶方位のことを指します。
土用の期間は全体的に方角の影響が強まるとされますが、その中でも特に慎むべき方角が存在します。
まず、「土用」という言葉の由来を知ることで、土用殺の意味がより理解しやすくなります。
土用とは「土旺用事(どおうようじ)」の略称で、「土の気が強まる期間」を指します。
季節の変わり目である立春・立夏・立秋・立冬の前、およそ18日間が該当します。
この概念は、自然界を「木・火・土・金・水」の五行に分ける陰陽五行説に基づいています。
春は「木」、夏は「火」、秋は「金」、冬は「水」とされ、それらの間を「土」が支配する期間として土用が定められました。
土用殺は、この土用の期間中に特に避けるべき方角とされ、方位学において大凶とされる「五黄殺」と同程度の影響を持つと考えられています。
なぜ土用殺の方角を避けるべきなのか?
土用の期間には、古くから建築・引っ越し・新しいことへの挑戦・旅行・農作業などを控えるべきとされてきました。
これは、季節の変わり目には無理をせず、静かに過ごすことが望ましいとされているためです。
特に、体調を崩しやすい時期でもあるため、無理な活動を避け、心身の安定を保つことが重要視されてきました。
また、こうした制約を人々が守らずに活動を続けてしまうこともあるため、「この方角には行ってはいけない」という戒めが設けられたのではないかと考えられます。
方角の影響を意識することで、人々はより慎重に行動し、思わぬトラブルを回避するための知恵を培ってきたのかもしれません。
さらに、土用の期間は気候の変化が大きく、急激な気温の変動や天候の不安定さが影響を及ぼすことがあるため、身体への負担がかかりやすいとされています。
そのため、昔からこの時期には無理をせず、ゆったりとした生活を送ることが推奨されてきました。
この考え方が、方角に関する戒めと結びつき、土用殺という概念が定着していったと考えられます。
現代においても、特に気候が不安定な季節の変わり目には健康管理が重要です。
土用殺の考え方を取り入れることで、生活のリズムを整え、無理をしないことの大切さを再認識することができるでしょう。
各季節の土用殺の方角
土用殺の方角は、各季節の土用ごとに異なります。
春の土用(4月17日頃~5月4日頃)
- 土用殺方位:南東
- この時期に南東へ向かう移動は避けたほうがよいとされています。
夏の土用(7月20日頃~8月6日頃)
- 土用殺方位:南西
- 南西方向への旅行や引っ越しは慎重に考えましょう。
秋の土用(10月20日頃~11月6日頃)
- 土用殺方位:北西
- 北西への移動は運気を損なう可能性があるため、控えるのが無難です。
冬の土用(1月17日頃~2月3日頃)
- 土用殺方位:北東
- この期間に北東方面への移動は避けるのが望ましいとされています。
土用殺の影響と回避方法
1. 吉日に移動する
土用殺方位への移動が避けられない場合、大安や天赦日などの吉日を選ぶことで、凶意を和らげることができるとされています。
また、一粒万倍日や母倉日などの吉日を活用することで、より良い運気を取り入れることができると考えられています。
2. 迂回ルートを取る(方違え)
目的地に向かう際に、直接向かわず、一度別の吉方位を経由してから向かう方法です。
この方法を取ることで、凶方位の影響を避け、より良い運気を取り入れることができると考えられています。
平安時代にはこの「方違え」が一般的な習慣として取り入れられており、特に貴族や高貴な身分の人々が重視していました。
3. 神社でお祓いやお守りを受ける
方位除けのご利益がある神社でお祓いを受けたり、お守りを持つことで、凶方位の影響を和らげることができるとされています。
また、特定の神社では方位除けのための特別な祈祷や祭典が行われることもあります。
4. 吉方位に旅行する
土用殺方位に移動してしまった場合、後日吉方位に旅行することで悪い影響を中和する方法もあります。
特に、温泉地など自然のエネルギーが強い場所を訪れることで、心身ともにリフレッシュし、悪い影響を軽減できると考えられています。
よくある質問
土用殺方位とは?
土用の期間中に避けるべきとされる特定の方角を指します。
土用殺の影響は?
旅行や引っ越しをすると運気が下がると考えられています。
土用に土を触ってはいけない理由は?
土用期間中は「土公神(どくじん)」という神様が地中にいるため、土を掘り返すと不吉とされています。
土用期間中の禁忌は?
大きな決断や契約を控え、慎重に過ごすことが推奨されます。
間日は土を動かしても大丈夫?
土用の期間中にも「間日」と呼ばれる特定の日は、土を動かしても問題ないとされています。
まとめ
土用殺とは、土用の期間中に特に避けるべき凶方位のことを指し、移動や新しいことを始める際には慎重に行動するべきとされています。
現代ではあまり意識されることが少なくなっていますが、古くからの知恵として参考にするとよいでしょう。
歴史や風習を知ることで、より深く日本文化を楽しむことができます。興味がある方は、ぜひさらに調べてみてください。