土用と聞くと、多くの人が「土用の丑の日」を思い浮かべるのではないでしょうか。
一般的に「土用の丑の日」と言えば、夏に鰻を食べる習慣が有名ですが、実は土用は年に4回あり、それぞれの季節に存在します。
今回はあまり知られていない「秋の土用」に注目し、期間や特徴、過ごし方について詳しくご紹介します。
秋の土用とは?
秋の土用は、立冬の直前18日間を指し、この期間は土の力が強まると考えられています。
農作業に影響を与える重要な時期ともされ、古くから土を動かさないようにする習慣がありました。
日本の暦には、季節の移り変わりを示す「二十四節気」と、実際の気候に合わせた「雑節」があります。
土用は後者にあたり、春夏秋冬それぞれの季節の変わり目に設けられています。
この土用の概念は、自然界のエネルギーの流れを整え、次の季節への適応を助けるために生まれたと考えられています。
また、土用の考え方には、中国の「陰陽五行説」が深く関わっています。
陰陽五行説では、万物が「木・火・金・水・土」の五要素で成り立つとされており、四季には「木・火・金・水」が割り当てられました。
しかし、五行のバランスを取るために「土」の要素を補完し、季節の転換期を「土用」としたと考えられています。
この期間には、土地のエネルギーが変化するため、土を掘り返したり、大規模な工事を避けるべきだとされてきました。
これは、土の神様である「土公神」がこの時期に活動すると信じられていたためです。
そのため、土用期間中は家の基礎工事や庭の手入れを避け、穏やかに過ごすことが推奨されてきました。
また、土用の期間は気候が変わりやすいため、体調管理にも気をつける必要があります。
特に秋土用は、夏の疲れが出やすく、朝晩の気温差が激しくなる時期なので、無理をせず十分な休息を取ることが大切です。
2025年の秋の土用はいつ?
2025年の秋土用は、10月20日(月)から11月6日(木)までの18日間です。
この期間の最初の日を「土用の入り」、最終日を「土用明け」と呼びます。
2025年の秋土用では、10月20日が土用の入り、11月6日が土用明けとなります。
また、土用の期間中には、土を動かすことを避けるべき日があるとされています。
特に、土を司る神「土公神」が活動するとされる日には、庭の手入れや工事を控えるのがよいとされます。
その一方で、土公神が天に昇るとされる「間日」には、ある程度の作業が許されると考えられています。
さらに、秋の土用期間中は、気候の変化に伴い体調を崩しやすい時期でもあります。
朝晩の気温差が大きくなるため、体を冷やさないように注意し、バランスの取れた食事を心掛けることが大切です。
特に、秋は旬の食材が豊富な時期でもあるため、栄養価の高い食事を意識することで、体調管理にも役立つでしょう。
秋の土用におすすめの食べ物
秋の土用には、「辰の日」に「た」がつく食べ物を食べるとよいとされています。
具体的には、大根、玉ねぎ、たけのこ、たこなどが挙げられます。
また、青魚を食べるのもよいとされ、旬の秋刀魚を大根おろしと一緒に食べるのもおすすめです。
これに加えて、里芋や高野豆腐などの「た」がつく食材も栄養価が高く、体調を整えるのに役立ちます。
さらに、秋は乾燥しやすい季節でもあるため、水分をしっかり補給しながら、温かい食事を意識することも大切です。
例えば、たまごを使った茶碗蒸しや、たらを使った鍋料理なども、体を温める効果があり、秋の土用に適しています。
2025年の土用辰の日は10月26日となっています。
この日はぜひ、これらの食材を取り入れて、健やかに過ごしましょう。
秋の土用の過ごし方
季節の変わり目である土用の期間は、体調を崩しやすい時期でもあります。
特に秋の土用は、日中と朝晩の気温差が大きくなり、風邪をひきやすくなるため注意が必要です。
また、土用の期間は「土を司る神様」が支配しているとされ、昔から土を掘ったり、新しいことを始めたりするのは避けたほうがよいとされています。
特に大掛かりなリフォームや造園作業などは、この期間を避けるのがよいと考えられています。
秋は比較的過ごしやすい季節ですが、この時期は無理をせず、温泉でリラックスしたり、旬の食材を楽しんだりして、冬に向けて心身を整えることを意識するとよいでしょう。
例えば、体を温める食事を取り入れることもおすすめです。
根菜類やきのこ類、魚介類を使った鍋料理は、栄養価が高く、体調を整えるのに役立ちます。
また、適度な運動やストレッチを行い、寒さに負けない体づくりを心がけることも重要です。
季節ごとの土用とその特徴
土用は一年を通じて四季ごとに存在し、それぞれの時期に適した食材を摂る習慣があります。
春土用(2025年:4月17日~5月4日)
この時期は「戌の日」に、名前に「い」がつく食材を食べると良いとされています。
例:いわし、いちご、いんげん豆 など
夏土用(2025年:7月19日~8月6日)
「丑の日」には、頭文字に「う」がつく食べ物を摂ると夏バテ防止に効果があるとされます。
例:鰻、梅干し、うどん、うり など
秋土用(2025年:10月20日~11月6日)
「辰の日」には、名前に「た」がつく食材を食べると良いとされています。
例:大根、玉ねぎ、たけのこ、たこ、たら など
冬土用(2025年:1月17日~2月2日)
「未の日」には、頭文字に「ひ」がつく食材を摂ると、寒さに負けない体づくりに役立つと考えられています。
例:ひらめ、ひじき、ひよこ豆、ひき肉 など
それぞれの土用の時期に適した食材を取り入れ、季節の変わり目を健康的に乗り越えましょう。
まとめ
土用は夏だけではなく、秋にも存在し、2025年の秋土用は10月20日から11月6日までの期間です。
辰の日には「た」がつく食べ物や青魚を食べるとよいとされ、健康を意識しながら過ごすのがポイントです。
季節の変わり目は体調を崩しやすいため、無理をせず、穏やかに新しい季節を迎える準備をしましょう。