結婚式や入籍、子どものお宮参り、七五三などの家族イベント、また新築の引っ越しや車の納車といった節目には、「せっかくなら縁起のいい日にしたい」と考える方が多いでしょう。
何かを始めるにはタイミングが大事。特に日本では古くから、日取りにこだわる文化が根付いてきました。
今でも「大安の日に予定を合わせる」「仏滅は避けたい」といった配慮をする人は少なくありません。
イベントだけでなく、宝くじを買う日を縁起のいい日に選ぶという人もいます。
中でも、カレンダーにたまにしか登場しない「天赦日(てんしゃび)」は、最強の吉日とされ、非常に注目を集めています。
ところがこの「天赦日」と、「赤口(しゃっこう)」と呼ばれる凶日が重なることがあるのです。
一見相反するようなこの2つが同じ日になると、一体運気はどうなるのでしょうか?
最強の吉日「天赦日」とは?
まず、天赦日についてもう少し詳しく見ていきましょう。
天赦日は「天がすべてを赦(ゆる)す日」とされ、あらゆる障害が取り除かれる最上の吉日です。
年に5〜6回しかない貴重な日で、新しいことを始めるのにうってつけといわれています。
例えば…
・結婚や入籍
・開業、起業
・引っ越し、契約
・財布の新調
・宝くじの購入
など「運気の流れを変える」ようなアクションには最適の日。
特に財布の買い替えには、天赦日に「一粒万倍日」や「寅の日」が重なる“最強開運日”が人気で、SNSでも話題になります。
では、その天赦日に、凶日である「赤口」がぶつかると、どうなるのでしょう?
赤口とは?その意味と特徴
「赤口」は、六曜(ろくよう)の一つ。六曜とは、先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口の6つで、日本のカレンダーにも広く採用されています。
赤口は「凶日」とされ、特に午の刻(午前11時〜午後1時)以外は良くないとされる時間帯が多い日です。
仏滅と並んで不吉な日とされ、病気や事故、争いごとに注意が必要とも言われます。
冠婚葬祭の予定を立てる際には、避けられることも少なくありません。
天赦日と赤口、同じ日になったら?
一見真逆の意味を持つ「最強の吉日」と「凶日」が重なると、どう考えるべきでしょうか?
実は、天赦日の運気があまりにも強いため、赤口のような凶日と重なっても「その凶意を打ち消す」とされています。
つまり、天赦日であるという一点だけで、その日は“吉”と見なして問題ないとするのが一般的な見解です。
この考え方は、暦注を専門に扱う人々の間でも広く知られており、暦の理論上でも「天赦日は他の凶日からの影響を受けにくい」と言われています。
ただし、これはあくまでも「天赦日だからこそ」です。
他の吉日――例えば「先勝」や「友引」などの中程度の吉日であれば、赤口などの凶日の影響を受けてしまい、運気が中和されたり弱まったりすると考えられます。
天赦日と赤口、どちらを優先するべきか?
これは非常に悩ましい問題で、最終的には「信じる価値観」次第になります。
例えば、「天赦日ならすべてをリセットできる」と考える人にとっては、赤口が重なっていてもまったく気にならないかもしれません。
一方で、「少しでも凶意が入り込む可能性があるなら避けたい」と思う人にとっては、天赦日であっても不安が残るかもしれません。
結婚や入籍といった「一生の思い出に残る日」の場合は、本人たちだけでなく家族や親族の意向も考慮して、皆が納得できる日取りを選ぶのが理想です。
また、どうしても不安がある場合は、「吉時間(きっこう)」を選ぶのもひとつの方法です。
赤口でも午の刻だけは吉とされており、結婚式や契約をこの時間帯に合わせるという工夫も可能です。
吉日と凶日が重なる理由とは?
そもそも、なぜこんなにも正反対な日が同じ日に存在してしまうのでしょうか?
実は、これはそれぞれの「暦注」がまったく異なる基準で日を判断しているからです。
・天赦日:十干十二支(干支)と二十四節気を組み合わせて決定される。
・赤口:六曜に基づき、旧暦の月初によって循環的に決まる。
このように、使用しているロジックが異なるため、同じ日でも「吉」と出たり「凶」と出たりするのです。
現代で言えば、占星術で運勢1位だったのに、タロットでは「気をつけて」のカードが出るようなもの。
判断軸が違えば、結果も異なるということですね。
ちなみに、暦注にはほかにも「十二直」「二十八宿」「選日」などがあり、さらに細かく日取りを見極めたい人は、これらも確認しているようです。
吉日・凶日をどのくらい気にするべき?
昔から日本では、冠婚葬祭など大切なイベントの日程を決める際、暦を重視してきました。
たとえば結婚式場では、今でも「ご年配の親族の中には六曜を気にされる方もいるので、大安にされるのがおすすめです」と案内されることがあります。
とはいえ、暦注は基本的に占いの一種です。
科学的な根拠があるわけではありません。
「天赦日に結婚すれば絶対に幸せになる」「仏滅に始めたから必ず失敗する」というものではなく、大切なのは本人の意思と努力です。
それでも、「今日は運がいい」と思えば気分が高まり、前向きな気持ちになれるものですし、「注意が必要」と思えば慎重になれるのも確かです。
つまり、暦は人生のリズムを整えるヒントの一つとして捉え、適度に活用するのが理想です。
まとめ
・天赦日と赤口が重なっても、基本的には天赦日の強運が勝るとされ、吉日として活用して問題ありません。
・ただし、「縁起」をどう捉えるかは人それぞれ。迷う場合は家族やパートナーと相談して納得できる日取りを選ぶのがベストです。
・暦注は占いの一種であり、あくまでも参考程度に捉えるのがポイント。
・日取りにこだわることで、自分自身が安心して前向きな気持ちになれるなら、それだけでも“良い日”になるのかもしれません。