「灯りをつけましょ ぼんぼりに、お花をあげましょ 桃の花♪」と歌いながら、家族と一緒に雛人形を飾った思い出がある方も多いのではないでしょうか。
しかし、この楽しいひとときの裏には、意外と手間のかかる飾り付け作業があります。
特に五段飾りや七段飾りを持つ方は、組み立てから人形を並べるまで、何時間もかかってしまうことも珍しくありません。
そこで気になるのは、もっと手軽に飾る方法はないのかということ。
また、雛人形を出す時期や片付け方について、実は詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、雛人形を簡単かつ美しく飾るためのコツや、片付けのポイントをわかりやすくご紹介します。
家族の愛情を感じながら、ひな祭りの準備を楽しく進めましょう!
雛人形を飾る時期はいつからいつまで?
雛人形を飾る時期に厳密な決まりはありませんが、一般的には立春(節分の翌日)から2月中旬ごろまでに飾るとよいとされています。
立春は季節の節目であり、節分で邪気を払った後の清らかな時期にあたるため、雛人形を飾るのにふさわしい日とされています。
「大安の日に飾るべき」という話を聞くこともありますが、日柄にはあまりこだわらなくても大丈夫です。
それよりも、少なくともひな祭りの1週間前までには飾り付けを終えておくことが大切です。
片付ける時期も悩むところですが、ひな祭りが終わってから2週間以内、3月中旬までにしまうのが一般的です。
このときも日柄より天気を優先しましょう。
晴れた乾燥した日を選べば、湿気によるダメージを防ぎ、人形を良い状態で保管できます。
湿気は雛人形の大敵なので、収納時の環境に十分注意しましょう。
雛人形を飾る場所と気をつけたいポイント
雛人形を飾るときは、置き場所と扱い方をしっかり考えることが大切です。
最適な場所の選び方
湿気や直射日光の当たる場所は避けましょう。
湿気はカビの原因となり、日光は色あせを引き起こします。
伝統的には床の間が理想的ですが、最近の住宅事情ではリビングに飾ることも多いでしょう。
その場合は暖房器具や窓から離し、ダメージを最小限に抑えます。
飾り付けの手順
飾り付けは最上段から始めるのが基本です。
これは、うっかり手を滑らせたときに下段の人形を守るためです。
人形の顔に触れるのは避け、冠などの小道具をつけるときは紙などで顔を覆いながら作業すると安心です。
万が一、顔に汚れがついてしまった場合は、乾いた綿棒でやさしく拭き取りましょう。
飾り方を写真に残そう
配置に迷うことが多い場合は、一度完成した状態を写真に残しておくと、翌年の飾り付けがスムーズになります。
これらのポイントを参考にしながら、大切な雛人形を丁寧に扱い、家族でひな祭りを楽しんでください。
雛人形の飾り方と配置の基本(平飾り)
雛人形の飾り方には、「平飾り」と「段飾り」の2つのスタイルがあります。
平飾りは、お内裏様とお雛様の一対を中心に飾るシンプルなスタイルです。
これに対して、段飾りは三段、五段、七段と段数が増え、三人官女や五人囃子、右大臣・左大臣などの随身(ずいじん)、嫁入り道具や御所車などが加わります。
平飾りの飾り方と配置
平飾りでは、通常、天皇と皇后を象徴する一対の雛人形を並べます。
最近では、有名人や話題の人物をモチーフにした「飾り雛」も人気を集めています。
また、平飾りのセットはガラスケースに入ったものが多く、毎年の飾り付けが簡単に済ませられるため、忙しい現代の家庭でも手軽に楽しむことができる飾り方として親しまれています。
段飾りの並べ方と配置(3段・5段・7段)
雛人形の段飾りは、段数によって配置される人形や飾りが異なります。
三段飾り
三段飾りは比較的シンプルな構成で、一番上にお内裏様とお雛様、その下に三人官女とお道具を並べます。
段数が少ないため飾り付けが簡単で、現代の住宅事情にもぴったりなため、近年特に人気があります。
五段飾り
五段飾りでは、三段飾りに加えて五人囃子や仕丁(または随身)を配置します。
商品の種類によって配置が異なる場合もありますが、七段飾りと同じく、すべての人形を並べるタイプもあります。
七段飾り
七段飾りは最も豪華で、すべての人形や道具が揃い、格式ある華やかな仕上がりになります。
1段目(最上段):お内裏様
最上段にはお内裏様(男雛)とお雛様(女雛)を飾ります。
通常、向かって左に男雛、右に女雛を配置しますが、関西地方では逆に配置することが一般的です。
この違いは、日本の伝統的な左右の位の高さと、西洋文化の影響によるものです。
2段目:三人官女
次の段には三人官女を並べます。
中央の官女は座っており、左右には加銚子や盃(三宝)などを持たせます。
3段目:五人囃子
その下には五人囃子を配置します。
並び順は左から「太鼓」「大鼓」「小鼓」「笛」「謡」で、太鼓や笛は比較的見分けやすいですが、大鼓と小鼓の違いはサイズで判断します。
4段目:随身
次に、左大臣と右大臣(随身)を飾る段です。
左大臣は年配の男性、右大臣は若い男性として描かれ、それぞれ弓と矢を持たせます。
5段目:仕丁
仕丁は表情豊かな三人の従者で、京雛の場合、熊手、ちり取り、箒を持たせます。
6段目:嫁入り道具
この段には、箪笥や鏡台、針箱、御膳などの嫁入り道具を並べ、厄を引き受ける願いを込めます。
7段目:御所車など
最下段には御所車や籠、重箱などを配置し、華やかさを引き立てます。
雛壇に飾るお供え物とその意味
雛壇には雛人形や道具だけでなく、いくつかのお供え物も並べられます。
それぞれにはどのような意味が込められているのでしょうか。
桃の花
雛祭りが「桃の節句」と呼ばれるのは、桃が重要な象徴だからです。
旧暦では現在の三月三日がちょうど桃の花が咲く時期であり、桃は古くから魔除けや長寿の象徴とされてきました。
菱餅
三色の菱餅は、赤・白・緑の順番で層になっています。
赤は魔除け、白は清浄、緑は健康を象徴し、また「雪が溶け、新芽が芽吹き、桃の花が咲く」といった季節の変わり目を表現しています。
白酒
白酒は、中国から伝わった桃花酒が起源です。
桃の花で香りをつけたアルコール飲料で、雛祭りには欠かせないものです。
ただし、子供の頃に飲んだ「白酒」の記憶は、実際にはアルコールを含まない甘酒だったかもしれません。
丸餅
三人官女の間に飾る紅白の丸餅は、高杯に大小の餅を重ねて太陽と月を表現しています。
雛人形の片付け方のポイント
雛人形を片付ける際には、湿気の少ない晴れた日を選ぶようにしましょう。
湿気取りを多く使うと、逆に変色の原因になることがあるので、使用量は適量を心がけます。
また、箱に人形の配置や段ごとの情報を書き留めておくと、翌年の飾り付けがスムーズに行えます。
大きな段ボールには、下段から順番にしまっておき、次回は上段から取り出せるようにしましょう。
まとめ
段飾りの出し入れは手間がかかりますが、雛人形には祖父母や両親の愛情が込められています。
年に一度の女の子の成長を祝うひな祭りを、ぜひ心ゆくまで楽しんでください。