皐月とは?名前の由来や面白いエピソードを解説!

和風月名

「五月晴れ」という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?

梅雨の時期の晴れ間を指すこの表現ですが、中には「皐月晴れ」という書き方も見かけます。

「さつきばれ」と同じ読み方ですが、この「皐月」とは一体何を意味するのでしょう?

「皐月」という言葉自体、日常ではあまり耳慣れないかもしれませんね。

競馬好きの方なら、「皐月賞」というレースを思い浮かべる方もいるかもしれません。

ただ、このレースは例年4月に開催されるため、「皐月」と5月の関係について疑問を持つ方もいることでしょう。

今回は、「皐月」という言葉の由来や背景について詳しく掘り下げてみたいと思います。

また、この時期に見られる風習や行事、さらに他の呼び名やその背景についても併せてご紹介します!

皐月とは?その意味と読み方

「皐月(さつき)」は、5月を表す日本の伝統的な月名のひとつです。

このような月名は旧暦時代から用いられ、和風月名と呼ばれます。

たとえば「師走(しわす)」は12月を指す月名として広く知られていますが、「皐月」も同様に5月を意味します。

昔の日本では、単純に数字で月を表すのではなく、その季節ごとの自然や行事に基づいて名前をつけていました。

「皐月」はその一例で、季節感あふれる名前のひとつです。

また、スタジオジブリの映画『となりのトトロ』でも、「皐月」に関連するネーミングが見られます。

主人公のメイ(May)は5月を意味する英語名に由来し、その姉の名前「五月(さつき)」も同じく5月を表しています。

この二人の名前は、物語が5月の爽やかな晴れの日から始まることを象徴しています。

皐月という名前の由来

「皐(さつき)」の字には、「神に捧げる稲穂」という意味が込められています。

旧暦5月は田植えが盛んに行われる季節で、そこから「早苗月(さなえづき)」という名前が生まれました。

田んぼに植えられる若い稲の苗を「早苗(さなえ)」と呼び、この「早苗月」が縮まって「早月(さつき)」となり、最終的に「皐」の字が当てられて「皐月」と呼ばれるようになったと言われています。

皐月の名前にまつわる説

皐月という名前の由来には、他にもいくつかの説があります。

1つ目の説では、「さ」という言葉が田植えや農作業を表しており、それに「月」を組み合わせて「さつき」という名前が生まれたというものです。

2つ目の説では、皐月の花として知られる「サツキツツジ」が名前の由来だとされています。

この花はツツジ科の植物で、盆栽としても人気があります。

特に「皐月鉢」と呼ばれる専用の鉢を使った栽培が一般的です。

ツツジとサツキツツジは見た目が似ていますが、開花時期が異なります。

ツツジは4月中旬から5月中旬に咲き、サツキツツジは5月中旬から6月中旬に花をつけます。

このため、ツツジを見て「皐月がもう咲いている」と勘違いすることもあるようです。

皐月がもたらす魅力

「皐月」という月名には、田植えの季節や初夏の自然の美しさが反映されています。

また、その名前には植物や季節行事との深い結びつきが感じられ、昔の人々が自然と調和して暮らしていた様子が伝わってきます。

普段はあまり意識することのない和風月名ですが、その由来や背景を知ると、より親しみを持てるのではないでしょうか。

皐月晴れにまつわる面白い話

「皐月晴れ」とは、旧暦5月の梅雨の晴れ間を指す言葉です。

しかし、新暦の5月は梅雨の時期ではないため、この表現に違和感を覚える方もいるかもしれません。

実際、新暦での梅雨は通常6月下旬から7月にかけて始まります。

「昔の梅雨は今より早かったの?」と疑問に思うかもしれませんが、そうではありません。

ポイントは、当時使われていた「旧暦」にあります。

旧暦とは、新暦(グレゴリオ暦)が導入される以前に使われていた暦で、天保暦という太陰太陽暦がこれに当たります。

旧暦では新暦より1~2か月季節が早く進むため、旧暦の5月は現在の6~7月頃に該当します。

したがって、「皐月晴れ」は旧暦における梅雨の晴れ間を表現した言葉であり、梅雨そのものの時期が変わったわけではありません。

また、「皐月晴れ」を「五月晴れ」と表記する場合、読み方によって意味が異なる点も興味深い特徴です。

・さつきばれ: 本来の意味である「梅雨の晴れ間」を指します。 
・ごがつばれ: 現在の5月における「爽やかな晴天」を表します。

同じ表記でも読み方によって異なる意味を持つのは、日本語ならではの奥深さですね。

皐月にまつわる異名とその背景

「皐月」という月名には、他にもさまざまな異名や別称が存在します。

これらの名前には、季節の特徴や自然の風景が色濃く反映されています。

菖蒲月(あやめつき・しょうぶつき)

菖蒲の花が見ごろを迎える時期にちなんでいます。

雨月(うげつ)

梅雨の季節を象徴する名前で、雨が多いことに由来します。

月不見月(つきふみつき)

雨が多く、月が見えにくい様子を表した呼び名です。

橘月(たちばなつき)

橘の花が咲く季節であることからつけられた名前です。

五月雨月(さみだれつき)

田植えの時期に降る短い雨や梅雨を表現しています。

仲夏(ちゅうか)

夏の中ごろを意味します。旧暦では1~3月が春、4~6月が夏、7~9月が秋、10~12月が冬とされていました。

こうした異名や別称には、自然と密接に関わりながら暮らしてきた日本人の豊かな感性が反映されています。

普段意識する機会が少ない和風月名や異称に目を向けると、日常の中で忘れがちな季節感を取り戻し、より深く楽しむきっかけになるかもしれません。

皐月にまつわる風習

「夏も近づく八十八夜~♪」という歌詞を聞いたことはありませんか?

これは「茶摘み」という歌の一節で、「八十八夜」には深い意味が込められています。

旧暦では、季節を表す「二十四節気」が農作業などに活用されてきました。

ただし、旧暦は月の満ち欠けと太陽の動きを基にしているため、実際の季節感と少しズレが生じることがあります。

このズレを補うため、日本では独自に「雑節」と呼ばれる指標が設けられました。

「八十八夜」はその雑節の一つで、立春から数えて88日目にあたります。

この時期は、霜の心配がなくなる頃とされ、種まきや茶摘みを始める目安として重宝されてきました。

さらに、この日に摘んだ新茶には「不老長寿の効能がある」と言い伝えられています。

現在では、八十八夜に摘まれたお茶を手にするのは難しいかもしれませんが、日本の伝統や季節感を思い起こしながら、お茶を楽しむのも素敵なひとときになるでしょう。

皐月に行われる代表的な行事

5月といえば、「こどもの日」を思い浮かべる方も多いでしょう。

青空を気持ちよさそうに泳ぐこいのぼりの姿は、日本ならではの初夏の風景です。

「こどもの日」は、男の子のお祝いというイメージが強いかもしれませんが、1948年に国民の祝日として制定された際には、「子どもの人格を尊重し、幸せを願うとともに、母親に感謝する日」として定められました。

そのため、性別を問わず、すべての子どもたちを祝う日とされています。

この行事の起源は、五節句の一つ「端午の節句」にあります。

「端午の節句」は、日本古来の田植えの神事と、中国から伝わった厄払いの風習が融合して誕生したものです。

もともとは女性が主役の行事だったとも言われています。

しかし、江戸時代に武家社会が広がるにつれ、「菖蒲(しょうぶ)」が「尚武(しょうぶ)」と音が通じることや、男の子が誕生した際にのぼりを掲げる習慣が広まったことから、「端午の節句=男の子の行事」という認識が定着しました。

まとめ

「皐月」は、5月を意味する和風月名のひとつです。旧暦での5月は現在の6~7月頃にあたり、梅雨の晴れ間を「皐月晴れ(五月晴れ/さつきばれ)」と呼びます。

一方、新暦の5月の晴天を指す「五月晴れ(ごがつばれ)」とは意味が異なるため、混同しないように注意が必要です。

皐月には、季節の移り変わりや日本の伝統的な風習が色濃く感じられます。

これらの背景を知ることで、5月をさらに楽しむきっかけになるのではないでしょうか。

 

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