春の土用とは?その意味や食べ物、過ごし方について解説

雑節

「土用の丑の日」と聞くと、夏のイメージが強いですが、実は土用の丑の日は四季ごとに存在します。

つまり、春や秋、冬にも土用の期間があるのです。

「春土用」という言葉にあまり馴染みがない方も多いかもしれません。

そもそも土用とは何を指すのでしょうか?

今回は、土用の意味を解説しつつ、春の土用について詳しくご紹介します。

春の土用とは?

春の土用とは、春の季節に訪れる土用の期間を指します。

土用は「雑節」の一つで、特に夏の土用に「うなぎを食べる」という風習があるため広く知られています。

しかし、実際には土用は春・夏・秋・冬の四季すべてに存在します。

土用の概念は、中国の思想「陰陽五行説」に由来しています。

この思想では、自然界のすべてのものは「木」「火」「土」「金」「水」の五つの要素から成り立っていると考えられます。

これを四季に当てはめると、春は「木気」、夏は「火気」、秋は「金気」、冬は「水気」となります。

ただし、この考え方では「土気」が当てはめられる場所がないため、季節の変わり目に「土用」という期間を設け、「土気」の役割を持たせたとされています。

そのため、春・夏・秋・冬それぞれに土用の期間があるのです。

春の土用は、古くから農作業の目安とされてきたこともあり、特に農村部では重要な期間とされていました。

この時期は、田植えの準備や土壌の手入れに適した時期と考えられ、自然と向き合いながら生活する人々にとって欠かせないものでした。

また、天候が不安定になりやすいため、健康管理にも注意が必要です。

さらに、春の土用には体調を崩しやすい時期とされ、昔から「土用養生」と呼ばれる健康維持の習慣がありました。

例えば、消化の良い食事を心がけることや、体を冷やさないようにすることが推奨されていました。

現代でも、この考え方を活かし、無理をせずゆったりと過ごすことが大切です。

春の土用の時期はいつ?

春の土用は、二十四節気の「立夏」の直前18日間の期間です。

春土用の具体的な日程は毎年異なり、立夏の日付によって変わります。

二十四節気は中国由来の季節を表す指標で、「夏至」や「春分」「秋分」などもその一部です。

2025年の立夏は5月5日となるため、春土用の期間は4月16日から5月4日になります。

なお、他の季節の土用も同様の計算方法で求められます。

  • 夏土用:立秋の前18日間
  • 秋土用:立冬の前18日間
  • 冬土用:立春の前18日間

立夏の日付が年によって変動するため、春土用の期間も毎年異なる点に注意が必要です。

春の土用に食べると良いもの

夏の土用では「う」のつく食べ物を食べる風習がありますが、春の土用には「い」のつく食べ物や白い食べ物が良いとされています。

これらの食材を食べることは、春から夏への移行期において体調を整え、エネルギーを補うために役立つと考えられています。

特に、「い」のつく食材は滋養に優れ、白い食材は胃腸に優しく消化を助けるとされています。

こうした伝統的な食習慣を取り入れることで、春土用の期間を健やかに過ごすことができるでしょう。

「い」のつく食べ物の例

  • いわし
  • いんげん豆
  • いか
  • いちご
  • いなり寿司
  • いちじく

白い食べ物の例

  • しらす
  • 豆腐
  • 白米
  • うどん
  • カリフラワー
  • 大根

なお、春の土用では「丑の日」ではなく、「戊(つちのえ)の日」にこれらの食材を摂るのが良いとされています。

四季の土用と食べ物

それぞれの土用の期間には、縁起が良いとされる食べ物があります。

春土用

春土用では、「い」のつく食べ物や白い食材を食べることが良いとされています。

  • :いか、いわし、豆腐、大根、いんげん豆、いちご、しらす、白米など

夏土用

夏土用は「う」のつく食べ物や黒い食材を摂ることが推奨されています。

  • :うなぎ、うどん、梅干し、海苔、黒豆、スイカなど

秋土用

秋土用には、「た」のつく食べ物や青い食材を食べると良いとされています。

  • :大根、玉ねぎ、サバ、サンマ、たらこ、たけのこ、青魚など

冬土用

冬土用では、「ひ」のつく食べ物や赤い食材を摂るとよいとされています。

  • :ひらめ、トマト、ひよこ豆、ひじき、赤身肉、にんじんなど

春土用の過ごし方

春土用は、立夏へ向けての季節の変わり目の期間です。

この時期は、気候の変化に伴い体調を崩しやすいため、無理をせずリラックスして過ごすことが大切です。

特に新生活を迎える人にとっては、環境の変化によるストレスが大きくなるため、休息を取ることを心がけましょう。

また、春土用は心身のバランスを整えるのにも適した時期です。

季節の変わり目は自律神経が乱れやすく、疲れやすい時期でもあります。

そのため、積極的にリラックスできる時間を作り、リフレッシュすることが大切です。

おすすめの過ごし方には、以下のようなものがあります。

  • ゆっくりお風呂に入ってリフレッシュ(入浴剤を使うのもおすすめ)
  • 気分転換に掃除や衣替えをする(断捨離をして心もスッキリ)
  • 適度な運動を取り入れる(ストレッチやヨガで体をほぐす)
  • 栄養バランスのとれた食事を心がける(旬の食材を取り入れて季節の変化に備える)
  • 早寝早起きを意識して生活リズムを整える
  • 緑の多い場所を散歩してリフレッシュする

春土用の期間は、無理をせず心と体を労わる時間を持つことで、次の季節を健やかに迎える準備を整えることができます。

土用に避けるべきこと

土用の期間は、昔から「土を動かす作業を避けるべき」と言われています。

これは「土公神(どこうしん)」という土の神様が、土を司るとされているためです。

そのため、以下のような行動は避けるのが良いとされています。

  • 庭仕事や畑作業
  • 建築工事(基礎工事や増築など)
  • 引っ越し
  • 結婚や転職などの大きな決断
  • 新しい土地を掘る作業
  • 大規模なリフォームや造成工事
  • 井戸を掘る

ただし、土用の期間中でも「間日(まび)」と呼ばれる、土に触れても問題がない日が存在します。

どうしても必要な場合は、間日を選んで作業を行うと良いでしょう。

また、土用前からすでに始めていた工事については、特に問題はないとされています。

そのため、工事を計画する際は、土用期間と重ならないよう事前に調整するのも一つの方法です。

さらに、土用の期間中は体調管理にも注意が必要です。

季節の変わり目で体調を崩しやすくなるため、無理をせず、規則正しい生活を心がけることが大切です。

十分な休息をとり、栄養バランスのとれた食事を意識することで、土用の期間を健やかに乗り切ることができるでしょう。

まとめ

春の土用は、立夏の直前18日間にあたる期間です。

この期間には、「い」のつく食べ物や白い食材を食べると良いとされています。

例えば、いわしやいか、豆腐やしらすなどが挙げられ、これらの食材は消化に優れ、体を整える効果が期待できます。

また、土用中は庭仕事や建築工事、引っ越しなどを避けるのが良いとされるため、注意が必要です。

これは、土の神様が司る期間であり、土を動かす行為が不吉とされているためです。

ただし、どうしても作業が必要な場合は「間日(まび)」と呼ばれる日を選ぶとよいでしょう。

さらに、この時期は気候が不安定になりやすく、寒暖差によって体調を崩しやすいこともあります。

そのため、十分な休息をとり、バランスの良い食事を心がけることが大切です。

春から夏へと移り変わる時期に、心身のバランスを整えながら、無理をせず穏やかに過ごしましょう。

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